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日記(真)

 こんにちは。Najikoです。

 このブログの名前を言って見ろ、わたくし!
はい。「NajikoのVRC日記」です。でも、日記全然書いてないじゃないですか。ですので、たまには特に意味のない日記を書いてもよいのではないかと思ったわけですね。

 今年はよくBlenderをいじったりしていますけど、2年前の、何だったら1年前の今頃なんてBlenderは自分には全然扱えないもんだと思っていました。完成品を組み合わせるUnityでのアバター改変すらままならないのに無理じゃろこんなもん、と思っていたわけですが、頑張って手を動かしているうちにまあなんとか何を作ったかわかるレベルのモデリングはできるようになってきました。できないものはできないですけどね。

 前々からよく書いてますが、わたくしが作っているのは「持ってみたいけどその辺にないもの」ばかりです。あるならそれをDLして使えばいいわけですが、なきゃ作るほかないわけです。この原神の「冷刃」なんて☆3の武器なので自分で作らないとまずありません。まあ、これは作りたくて作ったので探してもいないですけど……原神やってる人に見せても「あのあれだよね、あのあれ」とか言われるレベルの武器をなんでわざわざ作りたくなったのか、今となってはよくわかりません。創作は勢いです。

 ぶっちゃけ言うと、多少モデリングをかじったところで別に「Blender得意」になんて全然なっていません。見上げれば、どころかその辺の身の回りをちょっと見渡すだけで自分より強いモデラーが山のようにいるのがVRCの世界というものです。何か元々「デザインを学んでいた」とか「空間把握力がずば抜けている」とか労せずして適性を発揮できる要素があればまだともかく、そんなことも一つもない。なんだったらエディタを拡張するスクリプト一つ書くこともできない。自分の適性に鑑みれば伸びしろにも期待が持てない。それでもわざわざBlenderやろ、と思うのは、「それでもいいから」なんだと思います。だって、自分でやらなきゃ手に入んないものがあるんですから。やれば手に入る。不出来なものでも構いません。それが何かわかれば。無機質なキューブが浮かぶ母なる海から「有」が這い出てきた瞬間です。喜ばしいじゃありませんか。

 適性で言うなら文章書く方がよっぽど得意です。Blenderはうーんと唸りながらやってますけど作文なら何時間やってたって別に苦になりません。作文だけで生きていきたいと思うくらいには。作文だけで生きていけませんかね。わたくし、内言が全て言語化されているタイプなので、雑務を行うと「頭の中で言っていること」がメモリを食い荒らし、タスクが古い順に片っ端から記憶領域から押し出されていくんですよ。この特性は作文には活かされます。思考が最初から言語化しているのであとは書き起こすだけで済むからです。ただし、作文以外の作業に対しては記憶のスタックが阻害されることが致命的であり、うっかりやらかしもするし、怒られも発生します。普通の人なら覚えていられることが抜けてしまうわけですからね。自ら補助を加えなければなりませんが補助を加えるプロセスすら忘れてしまいます。もう救いようがありません。

 けど社会って、何でもできなきゃいけない。わたくしは作文では平均点以上の点数を叩き出せるかもしれませんがそれ以外は平均を下回るタスクしかこなせなかったりするわけです。けど社会は「じゃあ、作文頑張ってね! ほかは向いてる人にやってもらいましょう」とはなりません。「作文なんか得意でどうするんだよ、皆ができないことができないならお前なんかいらないよ」というのが社会です。悲しいですね。けどわたくしは常々、これってもったいないなと思っています。出来ないことを棚上げするのに都合のいい理由と思われるかもしれませんが、どうせなら各々が得意なことを担当した方が全体の効率が良くなるように見えないでしょうか。例えば陸上部で100m走で非常に優秀な成績を出す部員に、「お前100mは速いけど400mとか1500mとか砲丸投げとか幅跳び、棒高跳びのスコアは微妙だからもう来なくていいよ」なんて言うことがあるでしょうか。ないですよね。けど社会はそういうこと平気で言う。それはもうちょい皆ができることに対して、かも知れませんが、そもそも最初から組織が「適材適所」を許容する形になっていないために、各々の長所は短所に引っ張られて平均化され、「人事考課で良い評価を得やすい」ところに適性がある人物、あるいはごく一部の本当になんでもできるスーパーマンのような人物のみが出世していく。前者は向いてないことは部下に任せ、後者は部下に自分と同じタスク処理能力を要求し、上から下に向かって個性は「労働」に希釈され、人は疲弊し、淘汰され、全体が痩せ細っていく。酷いシナリオです。

 職業選択は自由だから、と言えばそれまでですが選択に自由があることは選択肢が無限であることを意味していません。家庭の事情で進学できなかった人もいれば家業を継いで夢を諦める人もいるでしょう。そこに対する救済は特になく、「自己責任でしょ」と“正解”の選択肢など最初からない人生を“不正解”扱いされる。あんまりじゃないですかね。もうやめよっかこの話。

 別にそんなこたぁどうだっていいんです。VRCの話を全然してないじゃないですか、VRC日記なのに。VRCといえば、わたくしはほとんど欠かさずインしていますが特に「冒険」が大好きなのです。「冒険」の形はそれぞれですが、未知のワールドの未踏の場所を延々と突き進むのも冒険だし、見知ったワールドで見知らぬ人同士のやり取りを見るのもまた「冒険」と言えます。

一人で不可思議なワールドを闊歩するのも「冒険」だし

publicワールドで面白アバターを普及するのも「冒険」だし

フレンドと協力して何か攻略するのも「冒険」です。

だから、なんだろな、一つのワールドに留まって雑談したりっていうのももちろん楽しいんですけど、わたくしはいつも冒険がしたくて仕方ないんですよね。落ち着きがない。ホラワにもよく行きますが、ホラワは構造上「未知の場所に向かって冒険する」ように作られていることが多いから、楽しいのです。別に怖いものが好きなわけじゃないってことですね。

 VRCの話は申し訳程度にしかしてないですけど、これ以上書きたいこと書きまくると当分「日記」など書かなくてよくなってしまうので今回はここまでにしておきます。またなんか書きます。それではVRCのどっかでお会いしましょう……

労働に起因する早起きが「冒険」を阻む最大の敵です。遅くから昼まで寝かせてくれ……

Najikoの性癖懺悔室

 再びこんにちは。Najikoです。

 前回の記事では軽く性癖を暴露しましたが、今回はせっかくなので製作のこだわりポイントを交えて少し掘り下げてみます。マニアックです。

 まずいきなり飛ばしていくのですが、ピンポイントなストラップシューズフェチに連動する癖として、わたくしにはサイズフェチが元々あります。要するにデカい女の子好き、ですね。
VRCで遊び始めた頃、今は無きConnectStationで、あるワールドのポスターを見かけました。それが「Lady snow, ready grow!」です。ここではワールドに隠されたクッキーを見つけるたびに、スノウエルフちゃんがどんどんバカでかくなっていきます。

腰が痛そう

 「ウワァー!! 最高じゃん!!!!」
 はい。テンション爆上がりです。早速行ってみることにしました。
みっちりと家に詰まるスノウエルフちゃんの美しい肢体がやがて壁を破壊し、ビルより大きくなっていく様子は圧巻で、まだVR酔いに耐えられなかったわたくしが無理をしてでもクッキーを探して駆け回った思い出深いワールドです。体験としては非常にVRと相性がいいと言えますね。

家ないなった

 実はスノウエルフちゃんも黒いストラップシューズを履いています。自分の(アバターの)体より遥かにデカくなった、高級車の如く凶悪に黒光りするストラップシューズはまさに珠玉の一品です。
しかし、唯一物足りなく思ったのは、足を上げて踏みつけるようなポーズを取るシーンが1回しか出てこないことです。これもまたニッチなポイントなんですが、わたくしは単に女の子がデカいだけでなくなんか踏んでてくれた方がずっと嬉しいのです。

ありがとうございます

 スノウエルフちゃんはデカくはなりますが物を踏んではくれません。足を上げてるポーズはサービスショットですね。平らな靴底が見られて非常に満足です。

楽園

 後にプライベートワールドに巨大なアバターを設置して遊んでいたことがあります。順当な進歩と言えますね。そこでは思う存分アバターに「踏むポーズ」を取ってもらいました。

 さて、それをまえて……今年はフルトラでインすることが増えたので、癖に従って色々な写真を撮っていました。Twitterに上げるとすっかりそっち系のアカウントになってしまうのでここで一部放出していきます。販売した衣装のおまけにも写真をつけていますが、それ以外にも撮り溜めている写真が山ほどあるのです。

 なかなかですね。やはり踏むポーズが好きすぎて、事あるごとに撮ってしまいます。だって、何回撮っても楽しいんだもんよ……このときは例のboothに置いてあった非常に良いローファーがわたくしの中で大ヒット。テンション爆上がり条件を満たしまくったローファーで暴虐の限りを尽くします。
一通り満足しましたが、何か忘れている気がする。そう、あのストラップシューズは?
ここあちゃんがかなりいいのを履いてるからいいか、という気もしないではないですが、普段使っている他のアバターにも履いてほしい。そうです、恐らくはそのあたりが発端だったと思います。そこで、以前作りかけだったデータの中に含まれていた靴の部分をブラッシュアップしてみることにしたのでした。

我ながらいいフォルムです

 好きだけど、今まで構造を意識したことはあまりありませんでした。この手の靴はもっと厚底だったり、ヒールやパンプスの形に収束することが多いですがわたくしが求めるものはそれじゃない。靴底は平らに。けどツヤツヤに。そう、もっと平らで薄い布系の靴もありますが、靴底はある程度硬さが欲しいのです。ああ、でも凹凸は不要です。「接地面にある程度硬さと面積があること」。これが重要です。間に入った物が余すことなく靴底で潰されるにはこれが必須なのです。

曲線美

 じゃあもう靴底はフルフラットで良いのでは? と思われるかも知れませんが、それとこれとはまた別です。フォルムは重要ですよ。踵の部分がきちんとあり、そこからつま先に向けてぐっと反り返るこの曲線、美しいですよね。これがなきゃ人で言えば寸胴みたいなものです。それに体重をかけるときこの曲線があった方がぐりぐりしやすいですよね。ひどい理由です。

 全体のシルエットを精査し、正面や後ろから見たときの形も大事にしました。丸っこいつま先がわずかに上に反っている形状がやはり良いですね。最初にこの靴を考えた人は相当な狂気に取り憑かれた変態に違いありません(多分違う)

 最初に完成したときは靴底に模様が一切ありませんでした。それはそれでいいのですが、立体感が損なわれるのは惜しい。そこでテクスチャとノーマルマップを用いて平らだけど僅かな凹凸で立体感が出るようにしました。非常に良いです。

 あとは、黒光りするMatcapを存分に使用していますが、単に一様に黒光りすればいいわけではありません。靴底はゴムなどですから、エナメル質よりはMatcapの影響を抑えねばなりません。まあ、それでもテラテラしていた方が個人的には好きなのでノーマルマップの影響が出る程度には調整しています。
そして残るはストラップ部分と、靴の縫い目です。

 縫い目もノーマルマップを用いて立体感を出すことができます。最初はUV展開がまずく、あまり綺麗にならなかったのですが展開し直して多少マシになりました。

 ストラップ部分は本当は足に密着するくらいがいいのですが、密着させると足を曲げたとき貫通してしまうのでやむなく遊びを持たせています。またホルダーの部分は最初はあまり重視しておらずいい加減だったのですが、作り直して無難な形になりました。結構目に入るので、ここも重要ではありますね。

実は素足です

 完成してすぐあとは何の疑問もなく素足の状態でのみ履かせていました。これは素足が癖だからではなく、普段の改変で素足のテクスチャに色を塗ってタイツにしていたからです。けどよく考えると、皆そうしているわけではありません。アバターにはちゃんと靴下が付属しているのです。けれど、想定しているこまどさんのアバターは靴下を履くとだいぶ足の大きさが変わるため、再度調整を行いました。

 ここで大きさと位置を変えるシェイプキーを実装。こまどさんのアバターは素体に互換性があるので、ラスクちゃんのニーソに合わせればほぼ合います。ミントちゃんとカリンちゃんのみ要調整ですが、それも僅かなものです。最初は、靴がデカくなるのはちょっとどうだろなーと思ったのですが……

セクシーです

いいな……
ほら、デカい方がたくさん踏めますし(手遅れ)

 ちなみに余談ですが、踏んでほしいとは言ってもわたくしは煽り耐性が0なので罵倒される感じのドSな踏まれ方はイヤです。殴り返します。楽しく無邪気に踏んでくれればOKですね。わかりましたか? わからなくて大丈夫です。テストには出ません。
なお、自分以外がドSな踏まれ方してるのはいいです(最低)

 かくして靴下分ボリュームアップした靴。靴下はやはり白が映えますね。
自作の衣装は今のところセーラーワンピとフリルドレス(上下が分離してるので本当はドレスじゃないのですが)を作りましたが、実はこの手のストラップシューズに合う服は意外と多くありません。
なぜかというと、まず普通にコーデが洗練されていくと靴が大人ものになり、先は尖っていきヒールが高くなっていくからです。

スノウエルフちゃんのシューズもヒールが高いです

 コンセプトがあるコーデの場合もゴスロリとかに派生すると厚底になり、装飾も華美になっていきます。よって、このストラップシューズがこのままで通るようにシンプルでややレトロガーリーなセーラーワンピと、ゴスロリというほどではないカジュアルなオフショルのフリルドレスを選んだというわけです。なお、普通のセーラー服だと靴はローファーになり、またカジュアルコーデに進むとスニーカーやサンダルが選ばれるのでやはり扁平なストラップシューズの出番は限られてきます。

残るはちょっと他所行きの女児っぽい服と、最大手はメイド服です。メイドさんは制服の一部としてストラップシューズを履いているため、華美な装飾はつかないし、仕事で歩き回る必要があるため厚底だったりヒールだったりにもなりません。扁平で歩きやすいシンプルなストラップシューズの着用は理にかなっている……はずです。要出典。

こんな子がいるメイドカフェなら行きたいですね

ただまあ、メイドさんはエナメルじゃなく革のシューズを履くでしょうが……誤差です、誤差(そもそもパンプスでは? とも思いますが、後述のアリスコーデがゴスロリを通じてメイドコスとごっちゃになっている部分があるので、この靴はその交錯した箇所に位置しているアイテムと見られます)
ちなみにメイド服は先発品があまりにも多いのでわたくしは作る気はないです。

 あと知恵袋ですが、この手の靴は「メリージェーンシューズ」という呼び名があるようですね。1900年のアメリカの漫画の登場キャラが由来です。
それとは恐らく関係ないですが、不思議の国のアリスは今日では特有のロリータファッションでこの系統の靴を履いた姿で描かれています。よって軽めのアリス系コーデでも最優となりますね。ピンポイントすぎる。

足がふっくらしてます

最後に、桔梗ちゃん対応ですがここでまたテンションがぶち上がります。こまどさんのとこのアバターより足がデカい!! お姉さんな分体型がアダルトです。調整する段階で元々よりもかなりスケールが大きくなりましたが、ちゃんと履けました。
履いたら服も調整して……早速VRCで見てみましょう。

ウワーッ!!!

良い!!!!!

最強ー!!!!!

 作ってよかった……
まあ、そんなところですかね。テンションが上がりすぎて疲れました。あとやるとすると「何か踏んでいる」のを表現することくらいです。靴底にテクスチャで何か貼り付けたり、踏むとぺちゃんこになる車を仕込んだり……けどそこまでやってしまうともう完全にわたくしの中ではNSFWなので(というか人に踏んでもらうだけでも全然NSFWですが。Justどころではありません。世の中にはそういうイベントもありますが、NSFWすぎてわたくしは行けません……)今は履いて眺めて楽しみます。

 え、靴が映える服は作るけど二足目の靴は作らないのかって?
アハハ、やだなぁ。靴はこれが理想形なのです。他の形状の靴はストラップシューズの中でも色々ありますが(ストラップの位置や形状が違う、装飾がある、花が咲いたような形の靴下とセットになっているなど)わたくしはこれ一択なので、もう作る必要はないのです。
満足したらそこでおしまいとは言いますが、あとは同形状の靴をブラッシュアップしていく方向しかありません。革の質感を出すとか。まあ、エナメルの方が好きなんですけど。

Matcapを調整すればマットな質感にはなります

 そんなところです。
アバミュ等でも靴をたくさん見てきましたが、記号化され簡略化された靴のなんと多いことか。とはいえ実際は、アバター自身がデフォルメされている以上それが一種の正解なのだとは頭ではわかっちゃいるのですが……

憧れは止められねぇんだ!!!

以上です。皆さんも何かにかける熱い想い、持ち続けてくれよな……わたくしは今日もなんか踏んで写真撮ります。

 最後になりますが、わたくしのこう、癖の強さで作り上げたもののモデリング技術的には拙い作品をお買い上げいただいた方にはこれ以上ないくらい感謝しています。ありがとうございます。意見、要望、不具合報告などありましたら遠慮なくお申しつけください。それでは……

Najikoオフ

https://najiko.booth.pm/

ツヤツヤの癖

 お久しぶりかもしれません。Najikoです。

 ここ最近、というか6月中はBlenderでの創作に勤しんでいました。
というのも、思い立ってあるものを作ろうと思ったのです。それがこちら。

ストラップシューズです。

でもなんで? と問われると困ったものですが、強いて言えば「理想とするものがなかった」というのが一番の理由でしょうか。意外とないのです。この手のストラップシューズ。
厳密にいえば、あるのですが「わたくしが理想とするものが」ないのです。わたくしが理想としているのは以下の条件に当てはまる靴のみです。

・扁平で、尖っていないこと
・ツヤツヤであること
・厚底でないこと
・ヒールでないこと
・靴底に凹凸がないこと

はい。この条件に当てはまる靴は極めて少ないです。具体的に言うと、この手のストラップシューズかローファーくらいしかありません。しかしローファーはとてもいい商品がBoothにあるので、わざわざ作らなくて結構。というわけであとは満足のいくストラップシューズを自分で作れば完璧、というわけです。

 初めはそれほど意識していませんでした。たまにいい靴を履いているアバターに満足しているくらいのもの。具体的にはここあちゃんの靴とかはとてもいい感じでした。

理想に近い形をしています。けど全体的に丸っこく、かかとが高いのが分かります。

けどまあ、わたくしが作らなくてもこうした属性の靴を履いているアバターがいる以上、わたくしはこう思っていました。「みんな多かれ少なかれツヤツヤのこういう靴には魅力を感じるんだ」と。ところがどうでしょうか。その実態は厳しいものでした。どうもみんな、靴にそこまで関心がないみたいなのです。おかしいな? でも靴フェチの人も世の中にはいるじゃありませんか。身内にはいませんが。

が、しかし。靴フェチの人は広範に「靴」なら興味を示すことが多いと見られます。特に上履きとか、履きつぶされてる靴が好き、などとwikipediaにも書いてあります。しかし、わたくしはそこにはあんまり興味がない。関心があるのは上記の条件を満たした靴だけなのです。恐らく、わたくしと同様の癖を持っている人間は靴フェチの人々の中からくまなく探しても簡単には出会えないでしょう。そしてそれを自覚したことは、自分の癖が異常性癖であることを知った瞬間にほかなりませんでした。

 悲しすぎる。性癖と言えば、わたくしは貧乳過激派などと言われていますが、わたくしの貧乳に対するスタンスもまたマイノリティで、「貧乳である」ことではなく「巨乳でない」ことに重点が置かれているので、こちらは理由としては消極的です。貧乳に限りなく強い愛着がある(ように振る舞ってはいますが)わけではなく、巨乳でないことに安堵しているだけ。それとこの靴への執着はまるでベクトルが違います。靴に関しては条件を満たすものであるほどテンションが上がるわけです。前から踏んで欲しいとか宣っていましたが、それもべつに素足やスニーカーで踏まれてもそんなに嬉しくない。理想はこの靴なのです。何を言ってるかわからねーと思うが、わたくしも何をされてそうなったのかわかりません。

 一体いつそれが創作意欲に転化したか、今となってはそれすらわかりません。けれども、やると決めたからにはやってみよう、とBlenderとの対話を始めたのが6月初頭。

作り始めはせいぜいこんなもんでした。このままだと、全然かわいくない。ネットで資料を漁ります。資料を漁っているだけでテンションが上がっていきますがテンションだけ上がっても作品はできません。ありとあらゆるアングルから靴を見たい。けど、なかなかうまく資料が見つかりません。このままではディテールに難があるものしか出来上がらない……うーん、どうしようーと悩んでいた時、妙案が浮かびます。「そうだ、実物があればいいんだ」

はいドン!買ってきました。ハードオフで。もうテンション爆上がりです。わたくしにとってはドンキのR18コーナーで豪遊しているのとそれほど変わりないテンションの上がりようです。豪遊はしたことないですけどね……それに資料ですから、あくまでも。資料ですよ。でも、いいね……最高じゃないですか。わかりますか、この感覚! いや、いいんです……わかんないよね……うん……ただまあ、この実物は靴底がデコボコしてるのでそこだけはあんまりなんですけどね。余計わからなくなったそこのあなたは健全な人です。

よく撮る好きなアングルです。


ともあれこうして立派に靴が出来上がったわけです。Blenderは保育園卒レベルのモデリング力ですがそこはもう、地道にやっていった結果ですね。創作してる人は多かれ少なかれ癖を原動力にしているだろうと思われますが、事ここに至ってはそれが最大限発揮された結果、わたくし史上他に類を見ないこだわりの塊が出来上がったというわけです。

 さて、あとはどうしましょうか。そうです。他の人にも履いて欲しい。大体、自分で履くためのものじゃないのです。履いて、下から平らな靴底が見たいじゃありませんか。願わくば、なんか踏んで欲しい。けどどうでしょうか。ここで試してみたいことが一つありました。
「500円で売る」
誰も買わないはずです。高いから。この靴にわたくしと同じように魅力を感じる人以外は。

 結果、ちょっと売れたのですが、わたくしを知ってくれている人が買ってくれたような感じだったので、真なる癖の者の手に渡ったのかどうか、それは定かではありませんでした。そして、もうこうなってはなりふり構っていられません。「癖でなくてもいいから履いてくれ」

とはいえ、一度500円で売り出したものを急に無料配布するような真似はできません。かくなる上は、「500円なら安い」という内容に中身を引き上げるしかありません。

だから服を作りました。こちら

服はおまけなのです。500円なら安い!と思ってもらうためのものなのです。とはいえ、わたくしが衣装を作ることができたのはSummerSweet!に衣装製作の実績があるメンバーが複数おり、技術的に協力を得ることができたためです。謝辞。

結果、さらにちょびっとだけ売れました。それでもまだ1桁台ですけど
さらに着用して見せてくれたフレンドもいます。もう感謝感激です。それが見たかった……一応、わたくしの望みは達成できたということになります。

 けど、もっと履いてくれと思いました。人の欲望には限りがありません。

こうして2着目を作り……

対応アバターまで増やしました。こちらです

我ながら、よくできたと思います。フリルをつけるのは大変でした。それもすべて……靴と合わせるため……けれど悲しいことに、こちらの衣装はほとんど売れていません。Clothの挙動も1着目よりよく、自ら常用しても快適に過ごせるだけの出来にはなったのですが。

これを書いている時点では桔梗ちゃん用の方は1着も売れていません。

特に桔梗ちゃん対応版は、桔梗ちゃんの方がプロポーションが良く足もデカいのでわたくしにとっては非常にExcellentなのですが、それ以上に恐らく桔梗ちゃん用の服でこのような挙動をするスカート型の服は珍しいと思うのでよかったら使ってみてほしいとは思っています。まあ、メインは靴なんですけどね。

そんな感じです。もう、自分でもわけがわからないよ。たった一つの癖で、面倒くさがりのわたくしがここまでするなんて……性癖って、怖いね。

でもまあ、「好き」に従ってこその創作。みんなもそれぞれの癖で自分だけの最強の物体を作り上げて欲しい……それだけです。

良すぎる!!!!!

以上です。写真を貼っていたらテンションが上がって来たので、さっさと寝ます……

復活! ロポリこん

 お久しぶりです。Najikoです。

前書き

 今日のテーマは「VRCで自分で使用するロポリこんのアバターをアップロード」です。
え、そんなの散々やって来た? そうかも知れません。が、現状こんちゃんはAvatars2.0向けのパッケージのみの販売となっています。一方、2022年5月現在もこんちゃんはバリバリ現役で、どこに行っても見かけることができます。以前からやってる人は色々な方法でなんやかんやアップしているからですね。

 しかし、今初心者の方が「お、こんちゃんかわいいなー! 買っちゃお!」と思っても、「2.0用かぁ、今は3.0だしなんか大変そうだなぁ……」となってしまっては勿体ないですね。それに仮にVRCSDK2でアップロードしたとしても、今やPhysboneの自動変換でこんちゃんの耳や髪や尻尾がくるくるしてしまいます。でもこれらの調整は決して難しくありません。2.0→3.0なんてワンタッチです。何より覚えておけばこんちゃん以外にも役立てられる知識なので損はありません。初心者の方も、こんちゃんをまだ3.0仕様にしてない人もこの記事を読んで令和最新版こんちゃんになりましょう。

準備

 アップロードの準備をします。申し訳ないのですが、記事が長くなりすぎるのでここではとりあえず

・Unity2019.4.31.f1をインストールしている(2022年5月16日現在)

・VRCSDK3とアバターのパッケージをインポートしてアバターをアップロードできる

くらいの知識は前提にさせていただきます。

わからない場合、少し古い記事になりますがこちらを参考にしてみて下さい。

アバター導入(Avatars3.0)

ではまずUnityで新しいプロジェクトを作成し、次のものをインポートしていきましょう。

・最新のアバター用VRCSDK3

VRCAvatars3Tools

UTS2

・DynamicBone(ない場合はこちらを使用してください)

こんちゃんのUnityPackage

では早速こんちゃんを3.0に変換していきましょう。あっ……

 またうっかりUTS2を先にインポートし忘れて、マテリアルエラーを起こしてしまいました。

けど大丈夫です。UTS2は今後のアップデートでUnity2020に更新されたらそのままでは使えなくなってしまうので、この機会にliltoonに移行してみましょう。

liltoon

lilMaterialConverter

こちらをインポートしてUTS2をliltoonに変換しましょう。

 マゼンタ色になったマテリアルを右クリックしてコンバートを実行します。

追記:エラーが出ているマテリアルをコンバートすると、元々のマテリアルの持っていたパラメーターが引き継がれません。この記事ではうっかりしてそのままやっていますがUTS2はコンバートする前にインポートしておきましょう。

「戻せないからバックアップ取っといてね」という旨のメッセージが出ます。必要であればバックアップを取っておき、とりあえずOKします。

これでマテリアルがliltoonを使用したものに変換されました。

2.0から3.0へ

 では早速こんちゃんを3.0にアップデートしましょう。

 上にあるタブからVRCAvatars3Toolsを起動し、出てきたウィンドウの2.0 Avatar Prefabのボックスに2.0のこんちゃんのprefabをドラッグアンドドロップします。
そうしたら、Convert Avatar To 3.0ボタンを押します。

 Scene上に3.0のこんちゃんが出現しました。あとは警告マークがついている「(Script)」のところで右クリックし、Remove Componentすれば変換は完了です。

仕上げその1 目

 もうこのままでもアップロードできますが、令和最新版究極完全態グレートこんちゃんになるためには2つ仕上げが必要になります。まず1つ目、「目がうるうるしないのを直す」です。

以前同じ内容で記事を書いているのでおさらいがてらざっくり手順を紹介します。

 こんちゃんのInspectorを下に送っていくとこのように「FX」という項目に何か入っているのが分かります。この中には表情を制御するアニメーションコントローラーが入っています。恐れずにボックス内をダブルクリックします。

 何やらこのような画面になります。こちらはパラメーターの項目なので、左上のタブ「Layers」をクリックします。

 なんじゃこりゃ、という感じですね。解説します。上から順に4つの階層がありますが、これは階層の中でそれぞれ「パラメータに従ってこんな風にアニメーションを再生するぞ」という構造が組まれたレイヤーです。下のレイヤーほど優先して実行されます。それぞれ見ていきます。

AllParts ここには何も入れません。

RecetFace コントローラーから手を離しているとき表情をリセットします。ここもいじりません。

Left Hand 左手で操作したときにどの手でどの表情が出るかが設定してあります。

 Right Hand 右手の表情セットです。レイヤーが下にあるので左手の操作より優先されます。

今回いじるのはRight及びLeftのHandレイヤーになります。

まずは灰色のボックスのうちThumbs upを選択します。

このような画面になります。右側にMotion Timeという項目があるのでその右のチェックを外します。

こうなります。

 これを右手と左手のThumbs upとOpenで2か所ずつ、計4か所行います。

次にそれらのボックスの右上にある「Motion」のボックス内をクリックします。

すると、参照しているアニメーションファイルが黄色くマークされます。
 アニメーションをクリックし、Inspectorタブを開くとこのような画面になります。Loop Timeにチェックが入っていることを確認してください。

 T_SterSmile.bも同様に確認します。チェックは入れたままにしておいてください。

こちらの手順は、右手と左手で同じアニメーションを使っているためこのアニメーションファイル計2個を確認すればOKです。

これで当該の表情のときこんちゃんの目がうるうるしたりキラキラしたりするようになります。

仕上げその2 Physboneの調整

 今回の目玉です。これを調整しなければアップロードしたこんちゃんの揺れる部位がくるくる回転してしまいます。結構面倒な部分ですが項目が多いだけなので流し読みしつつ値だけ適当に真似してください。

Scene上のこんちゃんを選択してCtrl+Dでコピーします。
コピー元の方のこんちゃんは右のInspectorから名前の左のチェックボックスを外して一旦非表示にします。
 次にコピー後のこんちゃんを選択し、VRChat SDKのUtilitiesのConvert DynamicBones To PhysBonesをクリックします。
「ダイナミックボーンを消してPhysboneに変えちゃうけど巻き戻せないからバックアップしなさいよね!」と書いてあります。多分。バックアップはしたので「Proceed」で実行します。
 DynamicBoneのコンポーネントがPhysBoneに置き換わりました。こんちゃんに青い円錐が連なっているのがわかります。まずはInspector内の「VRC Phys Bone」の各項目の下にあるIs Animatedのチェックを外していきます。これらはPhysboneをアニメーションで制御する場合に使用しますが今回は不要です。

で、各項目の設定をどのようにするかが問題です。

Physboneの項目も膨大なのでここでは全部は説明しません。詳しくはしぐにゃもさんのブログなどを見てみて下さい。ただし全部覚える必要は特にありません。

 そして、ぶっちゃけて言うとパラメーター自体は好みの問題なので正解はありません。ただし、問題である「勝手に回転する」原因は「Stiffness」という項目の値が0になっているためです。ここを0じゃなくすればひとまずくるくるしなくなりますが、まだ各所がでろんでろんに柔らかくなっているので調整していきます。わたくしはtwitterで紹介されていた設定(グラフの形状)を参考にしましたが、ソースが出てこなくなってしまったので「これ私が考えたやつだよ」という場合は教えてください。

 まずはTailから。PullとMomentumにはカーブが使われていますが、上(Pull)が0.2くらいから1へ、下(Momentum)が逆に0.8くらいから0に向かって、二つ合わせて見ると末広がりみたいな形になればOKです。カーブの形状はウィンドウを開くと下から選択できますが、これは一番右のものです。

ちなみにPullは大きくすると揺れにくく、小さくするとでろんでろんになります。0にすると動いたまま元に戻らなくなります。Momentumは大きくすると弾力が上がり、小さくするとなめらかになります。

 また、下の項目について、Collision以下のRadiusは干渉できる範囲を指定しています。0にすると触ったり掴んだりできなくなります。Allow Collisionにチェックを入れると手で触れるようになります。
Grab&Posing以下についてAllow Grabbingにチェックを入れると掴めるようになります。またAllow Posingにチェックを入れると掴んだ後トリガーで固定できるようになります。Allow Collisionにチェックが入っていない場合は手で接触はできないけど掴める、というようになります。
Grab Momentは掴める距離を指します。Max Stretchはつかんだボーンをどのくらい伸ばせるかを指します。この設定では最大の5になっているのでおそらく掴んで引っ張ると5倍にまで伸びます。そんなに伸ばしたくない、という場合は小さくしてください。0にすると伸びなくなります。

追記2:こんちゃんの場合Max Stretchを5にするとものすごく伸びます。2くらいにしておいた方が無難でしょう。

これではあんまりです。

次にHairと名のついた項目です。
 最後はEar。この記事を書いている時点ではVRC上で試していないのでこの値がいいとは限りません。お好みで調整してください。恐らく無難な動きになります。

アップロード

これにて設定完了です。あとはいつも通りVRChat SDKを使用してアップロードしましょう。

 サムネはSceneのVRCCamをいじっていい感じにしましょう。アバターネームを入力し、SharingがPrivateになっていることを必ず確認してください。必ず。

Quest対応

 最後にQuest対応します。こんちゃんのパッケージにはQuest向けのPrefabが同梱しているのでそちらを使用してももちろんいいのですが、今回はPC版アバターをQuest向けに変換してみましょう。まずはこちらをインポートします。

VRCQuestTools

インポートするとこのような画面が出ます。ASTCでテクスチャを圧縮、をクリックして一旦このウィンドウは閉じます。

Scene上のこんちゃんを右クリックしてVRCQuestToolsのConvert Avatar For Questを実行します。

変換を押します。

 するとQuest向けに変換されたこんちゃんが新たに登場します。PhysboneはQuestでも使用可能なため、その設定も引き継がれています。8項目より多くPhysboneがある場合、どれか削除するよう要求されますがこんちゃんは8つ以内に収まっています。

 Build SettingsをAndroidに変えます。上から2番目のAndroidを選択したら右下のSwitch PlatformをクリックしてAndroidビルドにします。

 VRCSDKを起動して先ほど同様アップロードすれば完了です。PC版と同じBluePrintIDになっているはずです。なお、ポリゴン数が若干VeryPoorの基準を飛び出てしまっていますがポリゴン数は負荷にはあまり影響しないので問題ありません。

オマケ

 こんちゃんはSkinedMeshが1つしかないのであまり影響はないのですが、SkinedMeshの下の方にあるAnchor OverrideのボックスにNeckのボーンを入れるとうまいこと光が当たります。普通人型のアバターはSkinedMeshが複数に分かれています。着せ替えなどをすれば新たに加わることもあります。そんなとき、全てのSkinedMeshのAnchor OverrideをNeckのボーンにし、上にあるRoot BoneはHipsに設定しましょう。また、Boundsに入っている数値も全てのSkinedMeshで揃えます。各SkinedMeshに使用するシェーダーも統一します。すると、VRCでよくある「顔だけ暗い」「服だけやたら光ってる」などの現象を避けられます。

あとがき

 今回はこんちゃんを例にしましたが、この手順に従えば2.0でセッティングされているアバターも簡単に3.0でアップロードすることができます。便利なツールを作成してくださった有志の方々に感謝ですね。こんちゃんは表情セットがQuestユーザーに特に扱いやすく、初心者から手の込んだ改変をするユーザーまで広く根強い人気を誇るアバターです。これを機に是非こんちゃんになって楽しいVRCライフを送ってください。それでは、VRCでお会いしましょう。

生まれてよかった日

 前略、お久しぶりです。Najikoです。
色々ありましたがブログが復旧したのでまた1年くらいはもつとおもいます。

 先日1月23日はわたくしの誕生日。実はVRCを始めてから誕生日を迎えるのは2回目なのです。とにかくVRCで誕生会をやると楽しい、ということは1年目から認識していたものの当時はボケーっとしているうちに特に誕生会をやることなく過ごしていました。

 これはフレンドのMotaさんのお誕生会(2020年8月28日)の様子です。
初めて参加したVRCでの誕生会でしたが、祝う側も祝われる側もとにかく楽しい、めでたい。大体誕生会などと、人を集めてパーティする機会なんて人生に何回あったでしょうか。せいぜい子供の頃家に友達を呼んで……くらいではないでしょうか。ましてや、コロナ禍のこのご時世。現実でどんなにお金を積んだところでこんな規模のパーティはとてもできません。一方、VRの世界でなら家の中で花火を打ち上げたりケーキに埋もれたりプレゼントボックスやパイを投げたりやりたい放題です。誰も怒りませんし、みんな楽しい。

 同年9月11日には同じくフレンドの夢々見さんのお誕生会も行われました。こちらも大盛況でした。誕生会というのは一期一会のフレンドとかけがえのない時間を共有できる貴重で贅沢な機会だと言えるでしょう。

 さて、それから約1年数か月。2022年こそはわたくしも自分の誕生会ってものを開いてみてもいいかも知れないと思っていました。すると、古くからのフレンドのティズさんがわたくしの誕生会を開いてくれるというので、わたくしは渡りに船と全てお任せすることにしました。

実は2020年のティズさんのお誕生会にはQuestから参加していました。

 ティズさんは2020年のお誕生会の際は自らワールドを作って人を招き入れていました。わたくしも最初は自分で作って人を呼んじゃおうかなと思っていたのですが、ティズさんはワールドも新しく作ってくれるということだったのですっかり任せきりにしていました。もう至れり尽くせりです。

 けれど、実はここだけの話、不安に思っていたこともありました。それはワールドの内容とかの話ではありません。大張り切りのティズさんから進捗を聞く限り、当初から結構大規模な企画になりそうだったことです。コミュ障のわたくしとしては、いつも遊んでる数人が「よかったねおめでとうー」とひっそりとお祝いしてくれればそれでいいんだけどな、とその時は思っていました。わたくしはVRCでアイドルグループに所属してこそいるものの、個人としての知名度は精力的に活動していたり多方面で功績を残している一部のメンバーから見ればお世辞にも高いとは言えません。そもそも大勢の人にお祝いしてもらえるような要素は初めから持ち合わせていない、取るに足らない人間だと疑いもなく思っていました。むしろ、そんなわたくしと日々共に過ごしてくれているフレンドの皆には逆にわたくしからその恩に報いるべきものであって、そうしたいと思ってはいながら具体的にできていることがいくつあるだろうか? と、自問してしまうほどでした。

BGM動画に使う写真を撮影しに来た時の様子

 わたくしの心配をよそに準備は順調に進んでいました。「プロモーションに使う写真を撮影したい」と言われた時はいよいよもって大がかりだと思いつつも、その頃にはわたくしも知らされていないタイムスケジュールの催しに少し期待も膨らんでいました。そして、ついに誕生日当日を迎えます。

仕事が終わってすぐ来てくれたかしさん

 21時に開始してすぐ、フレンドが一人、また一人と集まってきました。わたくしは上でティズさんと写っているたまなつちゃんのアバターで過ごしていることが多いのですが、この日は「Najikoの誕生日」なのでTwitterなどのアイコンにも使っているVroid製の「Najiko」で過ごすことにしました。10分くらいして乾杯する頃にはもう10人くらいは来ていて、早くもわたくしが当初想定していた規模を上回っていました。普段たまなつちゃんの姿ばかりTwitterに上げているので「Najikoさんどこ?」と言われるなどしました。ここです、ここ。

VRC特有の乾杯方法

 それから1時間くらいは次々と入ってくるフレンドの方々に挨拶したり、皆から募ったというわたくしが写った写真を眺めていました。自分で自分のことを撮ることは多いものの、人が撮ってくれた写真を見るのは嬉しいものです。アバターが写った写真というのは、単純にキャラクターと風景が合わさっただけのものではありません。その写真が撮られた当時その場所で何をしていたか、どんなことがあったか。一目見ただけで当時の記憶が蘇る思い出の記録装置です。ですが、おや……? その中には毎日遊んでいるフレンドから送られた写真だけではなく、茄子坂46でアイドル活動をしている際の写真も混じっていました。それらの写真は、わたくしを除けばグループのメンバーに掛けあわなければ手に入らない写真です。わたくしは古い写真しか送っていないので、もしやと思っていたのですがなんとやはり茄子坂46のメンバーに話を通して写真を送ってもらっていたのでした。

来てくれた人のほとんどとツーショットを撮りながら「そこまでしてくれていたとは」と思っていたところ、集合写真の時間に。そして、集合写真を撮っている間くらいについにわたくしも知らされていない催しが開かれます。

左上で寝ているのは「哀」のティズさんだそうです。

 主催のティズさんがBGMを流していた動画プレイヤーをジャック。喜、怒、哀、楽と本体の5人に分かれたティズさんたちからわたくしに謎の課題が課されます。「誕生日に課題を課されるのか」と盛り上がる会場。あれよという間に指令が下ります。それは、このワールドに散りばめられたピックアップ可能なオブジェクトを6つ集めるというもの。ヒントはNajikoオフです。実はワールドにはわたくしがboothで公開していた3Dモデルがワールドのあちこちにあり、みんなで探して集めてきてね、という催しでした。

Najikoオフに並んでないオブジェクトが山ほど。

 その頃にはなんと40名近い来場者がワールド内にいました。群がる人々によりあっという間に集まりまくるオブジェクトたち。わたくしはほぼ動いていなかったのですが色紙を持ってきてフィニッシュすると、6個と言われていたのにテーブルには総勢25個のピックアップ可能なオブジェクトが集まりました。Najikoオフ関係ないけどね!

 その後、ついに「課題の報酬」がわたくしに与えられます。それは……いつも遊んでいるフレンド、アイドルグループのメンバー、そして主催のティズさんからのビデオレターでした。大体40人も来場していること自体すごいことなのですが、改めてこの企画にとても多くの人が携わっていたのだと実感しました。しかし本当に……こんなことってあるんですね。やっぱりほら、お祝いとか感謝とかって、言語化されて初めて実感できることも結構あるんですよね。いつもどう思われているのかな、とか、思っててもわざわざ聞き出せないようなこともこういう機会には話してもらえたりして、少し照れるけどこんなに嬉しいことはないわけです。ビデオレターを見ながら、わたくしは最初に考えていたことはすっかり忘れていました。たくさんの人がお祝いしてくれて、たくさんの人が企画に関わってくれて、素直に嬉しい。これまで2年弱、VRCをやってきて本当に良かった。色々な人と関わって、色々な活動を通じて、時には一緒に楽しみ、時には励まし合い、善い時間を過ごしてこられたことへの喜びと感謝が溢れます。掛け値なしに人生最高の誕生日になりました。こんなにお祝いされることは、後にも先にも……いやいや、ともすればいつかもっとお祝いしてもらえるくらいには、これから一層恩に報いていけたらいいなと思うばかりです。ワールドはLabに上げられているので、また見返して喜びに浸りたいと思います。

 この企画の発端として、ティズさんが闘病中になんとかVRCにインしていた際にわたくしが励ましに行ったときのエピソードを挙げてくれたのが特にわたくしにとっては感慨深かったポイントです。あの時は、長い付き合いでいつも推してくれているティズさんにとって少しでも励みになればいいなと思ってjoinしたのですが、わたくしにとっては本当にほんのちょっとした恩返しのようなことでした。けれどその時のことがこうして巡り巡ってわたくしのもとに大きな喜びの体験として返ってきたことは「人に何かしてもらった分人のために何かをしたい」という思いの結晶であり、そうありたいと願うわたくしにとっては最高の祝福にほかなりません。これこそが、本当にVRCの世界に足を踏み入れてよかったと改めて実感することができた理由かも知れません。たびたびここでも書いていますが、大好きさんから最初に初心者案内を受けたとき、「Najikoさんもいつか慣れてきたら同じように初心者の人に親切にしてあげればいいんだよ」と言われたことがあります。人から受けた恩を、施してくれた人に(あるいはそれ以外の人にも)還元していくことの良さと大切さ……それを改めて感じることができた一日でした。

 最後になりますが、この企画に携わってくれた皆さん、参加してくれたすべての皆さん、そして主催を務めてくれたティズさんに改めてお礼申し上げます。ありがとうございました。わたくしのためにお祝いに来てくれた皆さんにも、素敵ないいことがありますように。そして願わくばわたくしも、どこかでそのための力になれたらと、心から思います。ではまたVRの世界でお会いしましょう。怱々。

夏の思い出

 前略、どうも皆さま。マンスリーNajikoのお時間です。

PROJECT: SUMMER FLARE

 今回はVRChatで公開されたワールド、PROJECT: SUMMER FLAREの感想みたいのを書いていきたいと思います。ネタバレ(というかやった人向けの内容)の記事になりますのでまだ遊んでいない人は是非体験してから読んでください。この体験はぜひ、まっさらな状態で楽しんで欲しいのです。

「夏」

 さて、まずこのワールドに入ると、まばゆい夏の光景が広がります。美しくも日本の地方特有の素朴さをたたえたビーチ、どこか懐かしさを感じる小さな臨海水族館、そしてどこにでもありそうな団地、コンビニ、公園、神社……まさに我々が思い描く「夏」そのものが広がっています。ただはじめは、リスポーン地点のパネルに書かれた指示と思しきイラストに従う以外に何をすればいいのかわかりませんでした。わたくしは、このワールドにフレンドと来るのを楽しみにしていましたが、わけあって一人で入ることになったので初めは「何すりゃいいかよくわからんなぁ」と思いながら、指示と思しき手順に従うべくしばし奮闘していました。

終わっていた世界

 指示に従うと、「夏」は突如その狂気のテクスチャを剥がされ、世界の真実の姿が明らかになります。もうこの時点ですごい臨場感です。「何が起きたんだ!?」と困惑しながらも、仕掛けをさらに解くと道順などを詳しく教えてくれるガイドが現れます。このガイドの存在が何よりこのワールドの素晴らしいところの一つです。どんなに広大なワールドも、何をすればいいかわからなくなれば彷徨っておしまいです。最初に「夏」に放り込まれた時ですらそれに近い状態になりました。ここでガイドしてくれるAIのLupiは起動するとプレイヤーに常に追従してきてくれます。アバターにアタッチするわけでも、手に持っていなければいけないわけでもないので操作を阻害しません。メッセージもわざわざ操作をしなくてもその都度字幕として画面に表示してくれるのでプレイヤーはミッションに専念することができます。

夏を終わらせろ

 ミッションの内容は、ずばり「夏」を壊すこと。世界を覆う「夏」の狂気。その元凶となっている施設の発電系統を停止させることです。この地球では、氷河期が訪れているにもかかわらず、人類皆がHMDをつけて夏の幻を見せられ、皮膚感覚を改竄され続け「夏」という名の「狂気」に囚われているというのです。何とも空恐ろしい話です。この「狂気」の影響は夏のみならず、この地球上を支配しています。どうも、この「狂気」は単に幻として現れるものではなく、対抗手段として「現実」を上書きしない限り実体を持つ存在であるようなのです。プレイヤーは、この「狂気」ですべてが象られた施設の深奥を目指し、ガイドに従って冒険することになるわけですね。これらはVR上での体験として非常によくできています。VRCを遊んでいるプレイヤーにとって、目の前に表示されているオブジェクトが自分にとっての現実と同義になります。しかし、これはワールドのギミック次第でいかようにも姿形を変えることができる。その特性を最大限利用し、「そこにあるもの」「そこにないもの」を巧みに翻し、世界観の深みにプレイヤーを誘っていく手法は本当にお見事と言わざるを得ません。特に、後半の「現実」に放り込まれるシーンは「ボイスが聞こえなくなる」という、斬新な演出がありました。HMDを介してコミュニケーションをとっているプレイヤー……そのアバターがこのワールドの中では実は最初からHMDをかぶっていて、それを外したらどうなるかという入れ子構造の表現。これはやられたー! と打ち震えてしまいました。

「本物の」体感

 数々の演出はいずれも一言で言うと「エモ」に尽きます。あえて語るのは野暮なほど、蓋然性にあふれた表現。それを担保するのが、このワールドの徹底した仕様にあります。上に書いたガイドの追従機能に加え、とにかくプレイヤーの没入感を阻害しない親切仕様が体験を「本物」に近いものにしています。

 このワールドでは銃、そして偽・デュランダルと呼ばれる最強の剣を手に冒険を進めることになります。もし、ワールドで2つのオブジェクトを手に冒険を進めようと思ったらどうなるでしょう。両手がふさがって、インタラクトもロクにできなくなります。ではオブジェクトを捨て置くかと言われればそうもいきません。しかし、このワールドでは銃と剣はその辺に捨てて進んでしまっても大丈夫。何故なら、ガイドに表示された方向に手をかざすことで手元にいつでも呼び寄せることができるからです。だからプレイヤーは、武器が必要な時以外は両手を自由に使って冒険に専念することができるのです。まさに「映画の中に入り込んだような」体験を、そのプラットフォームの仕様に邪魔されずに味わえるということですね。今まで、どんなに素晴らしい表現がされているワールドでもVRC、延いてはVRゲームとしての枠組みの中にある以上どうしようもない「仕様」に多かれ少なかれ興を削がれる部分というのはどうしてもありました。わたくし自身、長く遊んでいるうちにそれに適応することが正解のように思っていました。ところが、この「夏」の仕様は「そんなものはどうとでもなるが?」と言わんばかりに別次元の体感をもたらしてくれたのです。

次の「夏」へ

 このワールドは最後の最後にプレイヤーがこなしてきたミッションの真実の意味が開示された上で、本当の意味で「夏」を壊し、人類の未来を拓く道しるべを示して終わります。一度プレイしただけでは味わいつくせないほどの綿密に練り込まれた世界観、そして表現。このワールドの前日譚にあたる「夏が始まる一日前」から続く伏線の数々。ハマればハマるほどあれが気になるこれが気になる、これをもう一回見たい……などなど、夢中になる要素が盛りだくさんです。いやぁ……本当にこれ、無料で遊んでいいんですか……いいんですか、そうですか……
 作者のヨツミフレームさんは今後設定資料やサウンドトラックを出す予定だそうで、そちらもあわせると一層楽しめるんじゃないかと思います。個人的には、この素晴らしい体験がVRCのワールドギミックにパラダイムシフトを起こすくらいのことがあってもいいんじゃないかと思っています。ホントに。
 さあ、そんなVRCの”よりよい”未来を夢見ながらわたくしは今日もログインしようと思います……怱々。

PS.初めてこのワールドに行った時はガイドがあっても途中でくじけるかも知れないと思っていましたが、フレンドのKtさんが来てくれたおかげで最後までミッションを遂行することができました。ありがとうございました。

たまなつちゃんの一張羅

おはこんばんち……こんばんは。Najikoです。

かわいい服を着せたい

 こちらは普段わたくしが使っているアバター、「たまなつちゃん」です。

 体はあまなつちゃん、髪と耳と尻尾はしらたまちゃんの複合改変アバターです。
あまりにも可愛くて仕方がないので、今年の6月に、あまなつちゃん専用衣装を数多く販売しているIstriaさんに依頼してワンオフ衣装を製作していただきました。元々の服装はこのように、あまなつちゃん用のキャミワンピにしらたまちゃんのアームウォーマーとスリッパ、というものでした。キャミワンピ1枚に上着は着ないでアームウォーマーをつけるという、寒いのか暑いのかよくわからん状態だったのですがシルエットは気に入っていたので、一体になった服が欲しいと思いました。

で、自分で描いたデザインがこちら。

 こうして見ると原案はまあまあ地味な感じだったのですが、さらにこれを元に祥さんに改めてブラッシュアップしてもらったデザインから作られた完成品がこちらです。

 かわいい!!
専用の帽子と、新調したサンダルも加わりまさに頭のてっぺんからつま先までフルで作ってもらいました。当初考えていたよりもずっとユニークで可愛い仕上がりになりテンション爆上がりです。


デザイン面では、わたくしがむちゃくちゃざっくりメモ書きにぶん投げていたしらたまちゃんマークが意匠に取り入れられてキュートマシマシのワンポイントとなっているのが最高のお気に入り要素です。

こういうのもワンオフ衣装ならではという感じがしますね。そして、こうして近くで見るとよくわかるのですが、布の質感も抜群です。

 そして何より、この衣装の最大の魅力であり特長……それはフワッフワのClothです。まさにこの部分がIstriaさんの真骨頂。アバター最高級ブランドとして名を馳せるYOYOGIMORIの制作チームにも「運ゲーなところがある」と言われた揺れものの挙動(※)を、一説ではUnity公式も仕様を理解していないとさえ言われるClothを利用してこれでもかというほど最適化した衣装のクォリティは一言で言えばオーパーツです。

(※なお、記事内のインタビューで紹介をされているアンキテちゃんのスカートは最終的にClothを用いずDynamicBoneで実装されているそうです)

 Clothコンポーネントは布の挙動を再現するUnityコンポーネントです。VRChat向けのアバターをいじったことがあれば一度は聞いたことがあるかも知れません。

 同じく揺れものを表現するコンポーネントとしてDynamicBoneがあり、よく服のスカートなんかにはボーンが入っていてDynamicBoneで揺れを表現していることがありますね。Clothはボーンではなく、適用したメッシュによって挙動が決まります。ボーンが不要なため、(意図的に極端に重く設計しない限りは)動作自体は軽くなります。

 しかし、このClothというコンポーネントは扱いが難しく、適当に手を出すとどうなるかというと、こんな感じになります。

 このマントはなんとUnityAssetStoreで売っているものです。しかもCloth設定済み。なのですが、実際にSceneに配置して再生ボタンを押してみるとその時点ですでに端が丸まってしおしおし始めます。あまなつちゃんに装備させてみたものの、当然そのままだと貫通するのでカプセルコライダーで貫通を防止しようとしました。しかしもはや焼け石に水状態。画像のように、動くと大暴れしたメッシュがコライダーの間に挟まって元の形状に戻らなくなります。これでは使い物になりません。

 一方、たまなつちゃんのこの衣装のClothは腰から下全部という大規模なものであるにもかかわらず、激しく動いても人間の可動域の範囲で足が突き抜けることはまずありません。ダンスしても平気です。突き抜けないだけでなく、コライダーにはさまったりめくれあがって元に戻らなくなることもありません。勢い良く動けばCloth部分は確かに大きく舞い上がりますが、立ち上がれば重力に沿って元の形状に戻ります。極端な話、体が逆さまになっても元の姿勢に戻ればClothも戻るのです。リセットアバターしなきゃならないようなことは全くありません。いやホントどうなってるんですかねこれ……

 手にスフィアコライダーを入れればこのようにカーテシーすることも可能です。

というわけで、製作していただいたのはかれこれ3か月近く前ですが、毎日着て大満足なのでした。実物が見たい方はいつでも会いに来てください。多分そのときも着てます。それではわたくしはVRCに行ってきます……

2019なんて怖くない?

 ワクワクするアレの副反応で一日のたうち回っていました。Najikoです。

2018から2019へ

 先日ついにVRChatで扱っているUnityのバージョンが2018.4.20f1から2019.4.29.f1に更新されました。ベータテスト時は4.28だったりもしましたが最終的には4.29.f1になりました。

 こちらの移行ガイドを参考にすれば、2018で作ったプロジェクトを引き続き2019のプロジェクトとして使用することが出来ます。(散々言われていますが、バックアップだけは絶対に取りましょう)しかし、身の周りでは2019移行に伴って情報が錯綜している様子がちょいちょいみられたので、その辺のちょっとした疑問についてQ&A形式で勝手にまとめてみることにします。

Q.2018関係のものはもう使えなくなるの?

A.使えます。

 2019に移行したからといって、2018でアップロードしたアバター、ワールドが使用できなくなることはありません。現在は公式サイトで配布されていませんが、2018で使っていたSDKを持っている場合はそれを使ってアバターやワールドをアップロードすることもできます。極端な話、2017ビルドのものも使用不能にまではなっていません。ただし、VRCSDKが2.0から3.0になった時と同様、今後旧バージョンのVRCSDKが更新されることはありません。よって、新たに(または更新して)アバターやワールドををアップロードする際は2019でアップロードすることをお勧めします。

 なお、それほど頻繁ではありませんが2018で既にアップロードされているものに不具合が生じる場合は2019であげ直す必要があります。具体的には、ワールドのシェーディングやUDONスクリプトの一部が該当することがあります。

Q.プロジェクトを移行すると色々壊れる?

A.ほとんど壊れません。

 移行の情報が出た際は「マテリアルがテクスチャの参照エラーを起こして全部設定し直しになる」「既存のコンポーネントはほとんど使えなくなる」「使えなくなるシェーダーがある」「ギミックがすっかり機能しなくなる」などいろいろなことが言われていましたがほとんどの場合は問題ありません。

 正しい方法で移行すればほとんどのものはそのまま使えます。ただし、一部コンパイルエラーを起こすものがあったりするのでそちらは2019に対応した最新版があればそれに更新するか、なければ移行後にプロジェクトから削除して下さい。有志が製作したスクリプトや拡張エディタなどはそのまま使えるか、ダメな場合でもその多くが既に2019に対応しています。

Q.Clothは死んだの?

A.2018と挙動は違うけど使えます。

 これについれは一番誤解が多そうなところです。まず、Clothコンポーネントが使えなくなったわけではありません。clothコンポーネントは以前と同じように使用することが出来ます。ただし、移行時にガイドに従った手順を踏まなければEdit constraintsで設定されたピン(ウェイトペイントみたいなやつ)がバラバラになり正しく動かなくなります。つまり、正しく移行すれば見かけはとりあえず動きます。

 ただ、ClothはUnity公式すら正しく挙動を把握していないといわれる不可思議なコンポーネントで、さらになんと2019で仕様が変わりました。具体的にはリンク先の話を読んでいただければわかるのですが、「fpsが下がると動きが遅くなる」「ウェイトによってメッシュが伸びることがある」というのが2018の頃と違う点です。そこに目を瞑れば、コンポーネントとして全然機能していない、ということはないのですが、いずれにせよ素人が手出ししても手の施しようがないので可能であればVRC側で修正が入ってほしいな、というところです。

Q.2019にするとなんかいいことあるの?

A.なくはないです。

 先述した通り、現在公開されているVRCSDKは全て2019向けのもので、2018以前のVRCSDKは更新されません。よって、それらはサポートが受けられず、VRC側の仕様変更などに対応できなくなる可能性があります。それ以外で2019にしていい点を列挙すると、

・アップロード、プラットフォーム変更にかかる時間が2018より短い

・アップロード時に暗号化処理がかかりリッピングされにくくなった(ソース不明。おそらくですが英語のリリースノートに書いてあります)

・2018では対応しておらず使えなかったアセットが使える

といったことが挙げられます。今後、PhysicsBoneの実装などいいことは増えていくと思われます。

Q.UIが黒いんだけど直せないの?

A.白くできます。

 こちらを参考にしてください。一般的に黒い方が目に優しいようですが、お好みで白くもできます。ただ、各種アイコンなどは2018から見た目が大きく変わっているものが多いです。

Q.Normalized Timeがない!

A.名前がMotion Timeに変わりました。

2018のもの
2019のもの

なんででしょうね。

Q.Inspectorが開かないんだけど……

A.最新のVRCSDKを使いましょう。

 更新されたばかりの頃のVRCSDK3ではよく起こるバグのようです。最新のVRCSDKを使用すれば直ります。ただし、プロジェクト内にコンパイルエラーを起こしているスクリプトがあると赤エラーを吐いて普通に開かなくなるので、その場合はプロジェクト内から当該のスクリプトを削除しましょう。

あとがき

 とりあえず思いつくのはこんなところです。新しい仕様のものに触るのには勇気がいるし、避けられない更新とはいえ今までの知識がひっくり返されるのはストレスです。とはいえ、実際には一部を除いて巷で言われていたほど極端な変更点はなく、移行ガイドに従えばこれまで使っていたプロジェクトをまるっと移行することが可能なので、今のうちに慣れておくと後々役に立つかもしれません。では皆さん、よいVRライフを。わたくしはちょっと横になります。

Avatars3.0にするとなんかいいことあるんですかの巻

 どうも、ご無沙汰してます。エッセイで食っていく方法を知っている人がいたらこっそり教えてください。というわけで今月のマンスリーNajikoのお時間です。

マンスリーといいつつ7月は記事を書いてませんが、8月に2つ書けば大丈夫。わたくしってそういうヤツです。

3.0移行からの歩み

 前回の記事ではAvartars3.0にいつの間にか移行していました、という話まで書きました。記事のタイトル通り、3.0にするとなんかいいことがあるのかと言われればもちろんあります。が、Avatars3.0は2.0よりも突っ込んだ部分のカスタマイズが可能になる代わりに、その仕組みを理解しなければ2.0でできていたことが出来なくなることもあったりします。

 例えば、このブログでも対処法の記事を書いていますが「こんちゃんの目がうるうるしなくなった」とか「飛行モーションを導入する方法が分からない」など。そもそも2.0から3.0に移行するための手順も慣れるまでは面倒で、特にアニメーションコントローラの中のステートマシンをいじる過程は、2.0ではアニメ―ションオーバーライドの存在により必要ありませんでした。しかし、一方で3.0にするメリットの一つはこのアニメーションコントローラを直にいじれる部分にあると言えます。

 手にアイテムを持ちたい。そんな時、2.0ならどうするでしょうか。ハンドサインのモーションにアイテムとなるオブジェクトを表示するアニメーションを仕込むか、EmoteSwitchを利用してエモートにアニメーションを仕込みますね。

このこんちゃんの遺影はフィストのハンドサインを出している間だけ表示されます。この方式なら実装は楽です。ただし、フィストにする度にいちいち遺影が出てくるので邪魔になる時があります。

このこんちゃんの看板はEmoteSwitchで実装しています。出し入れがスイッチ式なので邪魔にならないようにしまっておけますが、アニメーションを再生した時に自分を視界に入れていなかった人には見えないという欠点があります。

時は流れ、こちらはあまなつちゃんです。手にやたらきんきら金のチョコを持っています。これは左手をGUNにすると出るようになっているのですが、2.0とは違ってEXメニューという拡張メニューを使い、「チョコを出すことを許可するボタン」がオンになっているときに限りハンドサインで出現させることが出来るようになっています。さらに、この画像では開封状態ですが、デフォルトでは未開封状態で出現します。そしてEXメニューに設定した「チョコを開封するボタン」を押すと開封状態になる、という少しだけ凝った設定がされています。

 もし2.0でこれらを実装した場合、似たつくりには出来ると思いますが「チョコを出すのを許可するボタン」と「チョコを開封するボタン」はそれぞれを再生した瞬間を目撃した人以外には同期されないでしょう。しかし、3.0でEXメニューを使って同じことをした場合はどこで再生しても後から見た人にも見えます。設定も拡張エディタなどを必要とせず、覚えてしまえば簡単です。

 こんな風に全身ゲーミングカラーにしたければ全身のマテリアルをごっそり変更するか、シェーダーの設定を変えるアニメーションを再生する必要があります。これもEXメニューから再生できるようにすればいつでもお披露目できます。また、EXメニューではアニメーションのオンオフだけでなく0~100%までの間をボリュームのつまみを回すようにしてなめらかに数値を変更できるBlendTreeも使用できます。わたくしはマテリアル変更アニメーションをここに設定して、一定まで回すとゲーミングし始め、さらに回すと全身金色に……などといったことを1つの項目で実行できるようにしています。また、例えばシェイプキーが0のアニメーションと100のアニメーションをBlendTreeに設定すると、その間の値をつまみで自由に指定できるようになります。有名な例としては、これを使って胸を膨らませたりしぼませたりすることができたりします(バスト調整シェイプキーがあるアバターであれば)。わたくしは常に絶壁でいいので使いませんが……もちろん、シェイプキーだけでなくオブジェクトのスケール変更をしたり、シェーダーの設定の中にアニメーションでいじれる部分があればそれもなめらかに数値を変化させられます。「髪が伸びたり縮んだりする」「暗いところでどの程度明るく見えるか微調整する」「ゲーミングの色の遷移スピードを変える」などなど……これらは3.0で導入できる機能としてはおそらくは初歩的な部分なのですが、既にこれだけ自由度が上がっています。

 アニメーションコントローラーの中身を直接いじれるため、そこに配置するステートマシンをどのように遷移するか変数で細かく指定すれば、さらに複雑なギミックも工夫次第でいくらでも仕込むことが可能です。しかし、わたくしは現状そこまではしなくても「初歩的な」機能にすっかり満足してしまい、物を出し入れする時は一定の条件で「物を出す」「しまう」のみ、マテリアル変更などをするときは「マテリアル変更」のみのステートを設置しておしまい、というパターンより先には進んでいません。

 あまなつちゃん購入後はずっと3.0で様々なアバターをアップロードしてきました。しかしそれらすべてがそんな感じなので、一見わたくしがVRCを始めて以来学んできたアバター関連の技術も頭打ちになってしまったように思えます。けれどそれは裏を返せば、ちょっとやりたいことや見せたいものがある時はこれらの仕組みだけでおおよそ実現してしまえるということでもあります。モーションを披露したい時はアクションレイヤーを使ったりと少し細かい点での違いはありますが、大まかなやり方は同じです。

知識の泉

 え、それらの方法が詳しく知りたいですか?

でしたら、わたくしが解説するよりもわかりやすい記事があるので、そちらをご紹介しましょう。

【これだけ分かれば】Avatar3.0のオブジェクト出し入れ導入

VRCAvatars3.0で色変えギミックをつくる

Avatars3.0でログアウトエモートを導入する(わかってる人向け)

この辺が参考になります。

そんな感じで今回はおしまいです。気づけばわたくしがブログで解説できることももうほとんどないですが、気が向いたらまたなんか書きます。ではわたくしは寝ますので、おやすみなさい。

気が付けば3

 ごきげんよう皆さん。Najikoです。

今回は前回の記事の続き、なのですが……

あらすじ

 アバター改変に楽しみを見出したわたくしは、クリエイティブなフレンドの刺激を受けながら大きなイベントである遊戯王集会に参加し、改変の可能性を再認識した!
 といったところでした。ここまでは、Avatars2.0による改変を行っていました。それで、これ以降は多少2.0でいくつかの改変をした後3.0に移行することになるのですが……

こちらはこうめちゃんに似せたこんちゃん。テクスチャ改変が中心なら2.0でも大した問題はありません。

これはメイドこんちゃん。スカートを持ち上げるのがやりたかったのでBlenderでメッシュを分割して服にClothを設定してみようとしたのですが結局上手くいかず。

こちらはワールド固定でなすちゃんを設置するこんちゃん。Emote Switchを使用すればメニューから設置が行える……のですが、3.0ではこの手のカスタマイズがより容易になります。段ボールは自分で撮影した写真をテクスチャにしています。たまにはこういうのもアリですね。

Xデー到来

 ついに、その日が訪れます。9月4日。あのあまなつちゃんの発売日です。

https://komado.booth.pm/items/2351349

あまなつちゃんは期間限定アバター。しかし、流行のトレンドに敏感なえらい集会では瞬く間にその名が知れ渡り、あっちを見てもこっちを見てもあまなつちゃんだらけ……に、少なくとも数日のうちになりました。11月に再販される前から、わたくしの身の回りでは「期間限定なはずなんだけどみんな持ってる」といった人気ぶり。わたくしはそのブームに即座に乗っかったわけではなかったのですが、9月10日には買いました。

これは問題の写真です。何が問題なのかという話なのですが、服を見て下さい。ゲーミングしています。今でこそ、わたくしはなんでもかんでもゲーミングする人として認識されていますが、2.0時代には一部のアバターのみにゲーミングを仕込んでいました。なんでもかんでも仕込むようになったのは3.0での改変を覚えてからなのです。ところが、わたくしいつAvatars3.0でアバターを上げようと思ったのか、全く覚えておりません。以前キングこんちゃんを試しに3.0でアップロードしていたものの、詳しい改変の仕方はまるでわかっていませんでした。恐らく、あまなつちゃんをアップロードする時に、とりあえずせっかくだから3.0でアップロードしようと試みたのでしょう。そこまではいいです。それならば比較的プレーンなあまなつちゃんが3.0でアップロードされることになるでしょう。ところが……そう、このあまなつちゃん、ゲーミングしているのです(2回目)

 このゲーミングは単なるゲーミングではありません。Avatars3.0の目玉でもあるExMenuからRadial puppetを回してマテリアルを変更するギミックを仕込んで、通常の色とゲーミングカラーを行き来できるようになっているのです。けどわたくしいつそんなこと覚えたの? だって、この写真撮影されたの9月11日なんですよ。9月10日に買って、11日にはテクスチャを改変してExMenuで服をゲーミングカラーに? わたくしそんな頑張れる人間じゃない!! なんでじゃろ、こわ……しかしまあ、いつ習得したか覚えちゃいなかったですがこれが真実のようです。2.0から3.0に変換するツールも併用していますし、そんなに難しい内容ではないのですが、よく頑張ってますね……えらいえらい。

 短いですが、今回は以上です。この9月10日から11日のわずかな間にめちゃ頑張っていたわたくしですが、ここから現在に至るまでそれほど進歩していません。それだけここで学んだ技が汎用的だったということでもあるのですが……とにかく、改変は楽しいですよ!