深木のことについてはちょっと大きな声では、と赤森が言うので、真夏は急いで食事を終えて空いている部屋を2人で探すことにした。 「来客用の部屋ならいくらでも空いてるのよね。来客ないから」赤森は真夏と廊下を歩きながら言った。…
なじこのぶいあーるしーにっき
深木のことについてはちょっと大きな声では、と赤森が言うので、真夏は急いで食事を終えて空いている部屋を2人で探すことにした。 「来客用の部屋ならいくらでも空いてるのよね。来客ないから」赤森は真夏と廊下を歩きながら言った。…
「んにゃ!!!」そのとき真夏がそんな声を出したかどうかは彼女しか知らないが、とにかくMorphee Gearからログアウトした彼女は現実世界に意識が戻ってきた。 「お疲れさまでした。ディスクが排出されています。取り忘れ…
「あ!!!」真夏は目の前の女性を指さして叫んだ。そこには、短い緑色の髪をして、左目が前髪で隠れた……名治子が立っていた。 「予定にはありませんが、不審な来訪者ではないと判断します。ご用件は何ですか?」名治子は言った。 …
「体調はいかがですか?」名治子は入り口に立ったまま尋ねた。 「うん……」と深木は目も合わせないまま空返事をするだけだった。数秒の間をおいて、名治子が歩み寄る。 「ちょっと、お隣失礼しますね」と名治子はベッドの傍らにあっ…
「深木さん、どうぞ」近くの引き戸が開いて、看護師が声を掛けてきた。 「行ってらっしゃい。また後で迎えに来るから」赤森はそう言って深木が不安そうに診察室へと入っていくのを見送った。深木は診察室ではいたって普通の検査を受け…
「あの、仁勢田さん……は、なんでこの車に?」深木は恐る恐る尋ねた。 「真夏ちゃんって呼んでほしいな。私ね、昔INCTにいたことがあるんだ。そこの電話ボックスに車が来るのも知ってるから、散歩する度にそこを通って車が来ない…
あらすじ 人間の脳と機械を繋ぐ研究を行うINCT研究所に勤務する医学研究助手の赤森、そして心理研究主任兼セラピストの名治子はそれぞれ別の場所、別の機会に「クトゥルフ」とそれにまつわるこの世ならざるものどもと接触するという…
前略、Najikoです。日記を書き始めるとあんまりいい話じゃないわたくしですが、今回も例に漏れません。 少し前ですが、飼っていた猫が1匹亡くなりました。以前記事に書いた、FFXから名前を取ったワッカという猫の姉にあた…
「いやー、今週からは楽しくいきましょう」赤森はそう言うと、ポーチに詰めてきたお菓子を面談室のデスクに並べ始めた。 「ええ、まあいいでしょう。わたくしも半分そのつもりですから」安物の電気ポットでインスタントコーヒーを淹れ…
「先生、今日は随分熱心に私の話を聞いてくれるんですね」面談室と書かれた部屋の中、やや不思議そうにそう言ったのは丸椅子に座った赤森珠子──人の脳と機械を接続する研究を行う秘密結社、ここ「INCT」に所属する医学研究助手の…