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ゲームなんて

 こんばんちは、Najikoです。

 ゲーム、楽しいですよね。最近はソシャゲも買い切りのゲームもボリューム満点の超大作が盛りだくさんです。流行ってるゲームを追っかけているだけでもとても時間が足りません。しかも長く続けているゲームでも息切れして全然続かなくなってしまうことも多くあります。

 そんなゲームに対するわたくしの個人的なスタンスというか、プレイスタイルみたいなものを改めて見直してみると、どうやって飽きてしまうかが少しわかってきました。結論から言うと、見通しが立たなくなると全てが終わります。それは一体どういうことなんでしょうか。

 まず、ゲームは序盤が一番楽しいものが多いです。少なくとも最近のゲーム、特にソシャゲは、ですね。昔のゲームは全然そんなことないんですけどね。最初の頃は石がいっぱいもらえたり、アイテムが山のようにもらえたり、赤ちゃんでもこなせそうなミッションで蝶よ花よともてはやされて報酬を寄越され気分よく進めることができます。そりゃそうですよね。だってここでアホみたいに厳しくしたら大半のプレイヤーは辞めちゃいますから。現代はそういう時代です。このときはそんだけもてはやされてるんだから何の問題もなくゲームは続きます。

 これが終わると概ねチュートリアル終了という形になります。ここまでに培ったリソースで攻略できる部分を攻略していくことになるわけですが、この時はまだそうそう飽きることはありません。なぜならまだキャラクターの成長が途上だし、ちょっとやればすぐ強くなる。オープンワールドみたいなゲームであれば、「辿り着くだけで手に入る強いアイテム」なんていうのもある。とにかく、目先の課題をこなしているだけで旨味がある。成長が楽しめる。クリアできるものも増えていく。楽しみという点ではある意味一番脂の乗った時期です。もてはやされている序盤を乗り越えた勢いがあればここまでは問題ありません。

 さて、そろそろ様子がおかしくなってきます。おおむね育て切っているキャラも出てきた。あるいは、ここから先は一朝一夕では育たない、というところまできている。この頃には「行けばもらえる」「簡単なステージのクリアでいい報酬がもらえる」「短時間で稼げる」なんて場所はもうない。何をするにも苦労する。すぐ終わるようなことはやっても何の旨味もない。一番おいしいのがデイリーなのでとりあずデイリーをこなす。そんな中で手に入ったわずかばかりの報酬をキャラクターの強化に回してみても、もはやほとんど強くならないか、莫大な必要リソースの足しにもならない。石も最初のころと比べて全然もらえないのでじゃぶじゃぶ課金しなきゃ新しいキャラも手に入らないし、手に入っても育成リソースも足りていない。話が長くて報酬がショボいミッション、無限の時間をかけても終わりそうにない探索、あと何ヵ月キャラクターを育成すれば互角に戦えるようになるかわからないボス、達成不可能な課題……そんなものばかり山ほど積みあがっていきます。ここにイベントも挟まってきたりする。まあキャラが育ち切っていればイベント自体は完走できますがEXステージなんていつ攻略できるかわかりゃしない。ちょっと試しに行ってみるか。あっという間に全滅する。何か対策ができないか? あらゆるリソースが足りておらず、小手先の対策はことごとく潰される。なんなんだ? 俺は何をすればこのゲームを楽しめる? 一生細々としたことだけやってればいいのか? こうなったらもうおしまいです。一生ログインすることはないでしょう。

 めちゃ被害者ヅラしていますが根本的にわたくしの性格がゲームに向いてないんだと思います。困難を乗り越えるのがゲームの醍醐味だから、デザイン的にキャラが育ち切ったフェーズではプレイヤーが試行錯誤する余地を残してくれているのでしょうが、わたくしは勝てる戦いしかしたくないので進んでそんな苦労をするのは苦痛でしかないのです。負ければ無能を晒すだけ。出来る人は文句も言わず攻略していることが自分には出来ない苦痛は筆舌に尽くしがたいものがあります。10回やって1回勝つエクスタシーよりも9回負けるストレスの方が何百倍も多いから、キャラクターはできる限り強化してすべての対策を行った上で挑みたい。でもそんなことは無理なんですね。ガチャだってそんなに回せないし、より強い相手と戦うにはギリギリ勝てる相手との戦いを切り抜けなければいけない。それには何ヵ月、何年もの積み重ねが必要です。グラブルなんかはその最たる例ですよね。わたくしグラブルやってましたけど、マグナ1装備が概ね揃ったかなというところでもうやる気をなくしてしまいました。大変なんだもん。これにアクション要素が加わってくるとより悲惨です。ゲームの組み立て方も下手なのにアクションの操作はもっと下手だから、操作が下手すぎる故に敵に勝てない。いくらキャラクターのレベルを上げても上限まで来てしまえば無意味。そこからは一方的な敗走の始まりです。じゃあ、もうちょっと実現できる場所から埋めていけば、という話ですが、別にもうそれ面白くないですからね。詰まっちゃって、余計なことさせられてるだけですからね……せめてメインストーリーだけでも簡単に読めるならいいですけど、それすらしんどい戦闘を課されるようなのはもうダメです。

 こうなるともう、いかにしてゲームを続けるかというところに見通しが全く立たなくなってきます。キャラの強化にせよなんにせよ到達点が遠すぎて、仮に地道にリソースを稼いでいたとしても新コンテンツ、新難易度等の登場に追いつけず、息切れして倒れてそれっきりになるのが関の山。あとに残るのは「これはおいしくないし」「これは時間かかるしな」「これは多すぎて手をつける気にならないな」
といったことばかり。今までこうして数多のゲームをぶん投げてきました。PSO2、モンスト、リトルノア……はあっという間にサービス終わっちゃいましたね。シノアリスも気づいたら終わってましたし、IDOLA……あれも終わっちゃいましたね。デレステ、ミリシタ、グラブル、ウマ娘……デュエルリンクス、原神、スターレイル、あとNIKKEも結局……なんでも手をつけすぎだよと言われればまあそうなんですけど、PSO2なんかは3000時間以上やってたんですよ。けど最後は息切れしました。理由は上記の通りですが結局「このゲームだけ一生やってればいいなら続くんだけどな」という感じです。毎日緊急クエストを定時に行っては落ちないレアアイテムにガッカリし、使えない武器ばかり倉庫に貯め、めんどくさいウィークリーミッションとデイリーミッションをこなし、なけなしの金をつぎ込んで行える装備の強化はひどい博打の末にハナクソみたいな能力の付与だけ。あげく操作が下手でエキスパートロビーからはつまみ出される始末。そんなことより他にも色々やりたいことがあると気づくのが遅すぎたとすら言えます。あと近年だとスプラトゥーンもやってましたね。戦犯になるのが辛すぎてやめましたけどね。

 あぁ、なんでこんな風になっちゃったんだろう。もっと地道に遊んで泥臭く勝利を追求して、人と勝負できるだけの腕前があれば違ったんでしょうか。あるいは「負けない」ことに固執しすぎてゲームから降りてしまっているのか。思えば小学生の頃からゲームで友達より強かった試しがありませんでしたから、そのときよっぽど悔しかったのかも知れません。でもどうせ正々堂々と戦っても負けるに決まってるからコスパのいい部分だけこそげ取っていく。万策が尽きたら降りる。とても卑怯です。でもゲームは楽しむのが一番なんでしょう? ならば卑怯とは言うまいな……

 それに比べてVRChatはよく「しゃべってるだけじゃん」「何をすればいいかよくわかんない」と言われますが、そういうところが逆にわたくしにはよかったのかも知れません。何をしてもいいし、別に何をしなくても誰にもとがめられない。プレイヤー間の腕前の差、やらなきゃいけないミッションも別にないし、まあ、ゲームワールドでは操作の上手さが問われることがありますがわたくしはそういうゲームあんまりやらないので……

一方的な優位性を持つロールがあるゲームが好きです。下手でも遊べるから。

 そんなわたくしでした。分かってくれとは言わないが、そんなに俺が悪いのか。悪いのかと言われたら多分悪いと思いますが……じゃあゲームなんてやめろよと言われると、それはそれで辛いんですよね。だって、コスパいい部分をこそげ取っているフェーズではまだ楽しいし、そのくらいまでやっていれば話題にはついて行けますから。でもなんか……もったいないよなぁ、とはちょっと思うのでした。でもゲームは途中で投げ出せるだけ人生よりはマシかも知れません。それでは……

小説版たま☆なつ 零・続

 あれからしばらくのことだった。テーブルを囲んでたまなつ、あまなつ、カリンの3人が朝食を食べているとたまなつが急に口をぽかんと開けたまま虚空を見つめ始めた。
 「? なにボケっとしてんのよ」
カリンはたまなつに話しかけた。初めは気味悪がっていたカリンも今やすっかりたまなつを家族として受け入れていた。というのも、気味が悪いことには違いないのだがカリンは姉のあまなつのことが何より大事なので、いつまでもたまなつを拒絶して姉に怒られているようでは困るというただそれだけのことである。とはいえ行動が変われば考え方も変わってくるようで、多少どついたくらいでは全然めげずに甘えてきたり話しかけてきたりする好奇心旺盛なたまなつに対しては少しくらい面倒を見てやっても……という気持ちが湧いてきていた。
 「そういえば私、パパの顔見たことない」
たまなつはそう言った。実を言うとたまなつはずっとあまなつと行動しており、色々あってまだ父親の顔を見たことがなかった。父親と言っても、彼女の父親にあたるのはしらたま族の少女である。そのこと自体はたまなつも知っているし、両親がどちらも自分と大して年が変わらない女の子だという異常な事態についてもさして疑問を持たずにいたのだが、いかんせん「パパ」本人にはまだ会ったことがなかった。
 「パパは……そうね、しらたま族なのよね。たしかに、私も……いや、あなたを会わせたことはなかったわね、そういえば」
あまなつは言った。カリンは何かおかしいなと思い、
 「しらたま族って……猫の女の子じゃない。けどパパなんでしょ? なんでよ。そもそも、私たちに親なんて」
とそこまで言ったがあまなつにテーブルの下で足を蹴られてそれ以上言うのをやめた。代わりに
 「……まあなんでもいいわもう……けど連絡先くらいは知ってるんでしょ? 会いに行けばいいじゃない」
と続けた。しかし、あまなつは渋い顔をして言った。
 「知らないのよ、連絡先」
するとカリンは
 「なんでよ。離婚調停でもしたの? いや……してたら腹立つわね……勘弁してよ、じゃあどうやったって会えないじゃない。だってしらたま族ってどこに住んでるか誰も知らないんでしょ?」
と、あまなつと同じくらい渋い顔をした。そう、しらたま族は群れで生活している種族らしいのだが、誰もどこに住んでいるかわからないのである。
 「私は聞いたことあるよ。確かしらたま族は……森に住んでるんだ。その森には、綺麗な泉があって……楽園みたいなところなんだって」
たまなつはそう言うとぽかんと開いた口にサンドイッチを詰めた。
 「へー。じゃあ世界中の森を捜し歩くことになるわね。いいライフワークが見つかったじゃない」
カリンはたまなつの情報に何らの価値も感じていなかった。そんな大雑把な情報ではないのと同じだからだ。そんなことを言っているとあまなつはどこかから世界地図を取り出してテーブルに広げ、
 「見て、ここ……シリアのアンティオキア。ここのテオフィロスっていう人の創世記の解釈によればね……」
と語り始めた。
 「ちょっと、まさかエデンの園を探すっていうんじゃないんでしょうね。トレジャーハンターにでもなるつもり? せめて国内にしてよね。絶対国内にいるって、しらたま族」
カリンはすっかり呆れていた。どうもあまなつは独自に調査した結果、しらたま族がエデンの園かその周辺に生息しているというyoutubeあたりで誰かが言っていそうな話を信じてしまったらしい。
 「ねえ、見て見て。泉がある森だよ」
たまなつはスマホの地図アプリで、近所の森のあたりを表示した画面をカリンとあまなつに見せた。
 「あぁ? めちゃその辺じゃない。そんなとこにいたら苦労しないんだけど……でも泉なんて……」
カリンはシリアよりはマシだと思いながら見ていたが、あることに気づいた。
 「ああ、これは温泉ね。そういえばあったわね、日帰りでも入れるちっちゃい旅館……」
するとたまなつは
 「あ、ホントだ……泉って書いてあると思ったら温泉だった……でもきっと温泉だって泉には違いないよね。行ってみない?」
と話した。カリンは返事をせずあまなつの方を見た。
 「い、いいんじゃない? ほら、外に出れば何か手がかりもあるかも知れないし……温泉、いいわよね。今日は温泉に行きましょう。家族旅行よ家族旅行」
あまなつは割と乗り気だった。温泉に浸かれば、パパが見つからなくてもたまなつもひとまずは満足するだろうと思っていたのだ。カリンも、家族旅行ねぇ……といった顔をしながらもまあせっかくだし、温泉に入るのは悪くないと思い、行くことにした。

 「あー、家族で裸の付き合ができて良かったわね」
あまなつが乾かした髪を二つに結びながら満足そうに言った。3人はそこそこ歩いて、町はずれの森の中にある小さな温泉旅館に日帰りで来ていた。温泉旅館というよりは、銭湯のようにして利用している客が多い小ぢんまりとしたところだが、売店や食堂があり、浴場はそこそこ広い正真正銘の温泉で露天風呂もあるので、ちょっと入浴に来るだけで贅沢な体験ができる穴場スポットだった。
 「はぁ、しょうもないわね……思ったよりいいとこだったけどね。お昼ご飯食べて帰ればちょうどいいんじゃない?」
カリンも髪を元通りに結んで、ロビーに出てきた。たまなつも一緒に出てきたが、彼女は存外うかない顔をしていた。
 「パパ、この辺にはいないのかな……」
とたまなつが呟くと、カリンは少し気の毒に思って、
 「まあ元気出しなさいよ、今日はいないだけかも知れないし……ほら、自販機でビンのジュース買ってあげるわよ」
と、ロビーの角の自販機の方にたまなつを連れて行こうとしたときだった。椅子から立ち上がってめいっぱい伸びをしている、フルーツ牛乳の空き瓶を手に持った少女が一人傍らに見えた。彼女は小柄で、猫の耳と尻尾があり、猫の輪郭のように見える顔の横のハネた髪と、後ろに伸びたとても長い髪がたまなつによく似ていた。ただ、髪の色はたまなつと違って白い。しかし、たまなつはそれを一目見て少女の元に一目散に駆け寄り、
 「あ、あの……あの……! もしかして、パパですか」
と尋ねた。だが、にこにことした笑顔を浮かべたまま、少女は両手を上げて驚きを表現した。
 「ご、ごめんなさいね。この子……ん? た、確かに似てるかも……」
カリンはたまなつに追いついたが、その少女が確かにたまなつに似た風体をしているのを見てもしかすると……と思っていた。そこにあまなつもやってきたが、あまなつはすかさず、
 「あー、二人ともちょっと外してくれる? 私話があるのよ、ね、お願いよ」
とカリンとたまなつを遮って言った。カリンはよくわからないがとにかく慌てている姉を見て
 「あー、うん……行くわよ。売店で何か買ってあげるから」
とたまなつの腕を引っ張っていった。たまなつは抗議するように、
 「え、でも」
と言ったが、カリンはというと
 「あとで戻ってくるから。ワガママ言うと肉まん買ってあげないわよ」
と言い強引にたまなつを引っ張っていった。その様子を見届けて、ない胸をほっとなでおろしたあまなつは、
 「あなたはしらたま族ね。しかも、いい笑顔……話に聞いた通りならあなた、きっとこの近くの研究所に行ったことがあるわよね?」
と話しかけた。するとその少女は迷うことなく
 「あ、ありますあります。しらたま族として招待されたことが」
と答えた。ビンゴだった。あまなつは小さくガッツポーズし、
 「よし、じゃあ間違いない。あなたあの子のパパなのよ」
と告げた。しらたま族の少女は顎に手を添えて何か考えるようなポーズを取った。
 「やっぱりね……なるほど、私が『パパ側』だったかぁ……」
 「知っていたの? あの子……たまなつがいること」
 「なんとなくは……今日、ここに来るだろうってこともね」
 「そ、そうなの? 一体どうやって……私たちはあなたがどこにいるかまるで見当もつかなかったのに」
 「全てはネコのお導きってところかな」
 「?? まあ、いいけど、その……悪いんだけど、じゃああの子の前でパパとして振る舞ってくれる? あなたにしか頼めないのよ」
 「いいよ。きっとそうしないとあの子がガッカリしちゃうからね。私も結構まんざらではなくて……そう、あなたはあまなつ族でしょ。その、絶滅危惧種の……」
 「あ、うん……そうよ。本当はもう増えることはないんだけど……」
 「そうだよね。実はしらたま族も、めちゃんこ数が減っちゃって今はほとんど増えることもないんだ。だからまあ、喜ばしいと言えば喜ばしいかなって」
二人がそんな会話をしていると、カリンが一人で戻ってきた。
 「あの、話してるところ悪いんだけどそろそろどう? アイツ連れてきてもいい? もう肉まん3個食ってんのよアイツ。早く行かないとパパがいなくなっちゃうとか言って泣きながら3個も……なんか腹立ってきたわ」
カリンは複雑な顔をしながら言った。すると、
 「ああ、かわいそうに……連れてきてあげてください」
しらたま族の少女はそう言った。カリンは何がかわいそうなのよ、という言葉をぐっと飲みこんで急いで売店の方に戻ってたまなつを呼びつけた。ほどなくして、ムッとした表情のままのカリンと袖を顔に当てながらめそめそしているたまなつがぽてぽて歩いてきた。たまなつはちょっと泣きぬれた顔のまま、笑顔で立っているしらたま族の少女にもう一度尋ねた。
 「あの……パパですか」
するとしらたま族の少女は
 「パパだよ」
と答えた。たまなつはそれを聞いてにわかに笑顔になり、しゃがんでしらたま族の少女を抱き寄せた。
 「パパー!!」
たまなつがそう叫ぶと、しらたま族の少女は
 「おお、娘よ……」
とよくわからないノリで接していた。その様子を見てあまなつは何故か少し涙ぐんでいたがカリンは心底呆れた表情をしていた。しらたま族の少女はひとしきり熱い抱擁を受けた後、パッと目を開いてたまなつの顔をじっと見つめた。その明けの星空を詰め込んだような美しい瞳は、たまなつにもよく遺伝しているものだった。
 「たまなつちゃん、君はいずれ楽園に招かれる。そのときは私が迎えに行くからね」
しらたま族の少女はたまなつにだけ聞こえるようにそっとそう話した。たまなつは何もピンと来ず、首をかしげているのだった。

 その後4人は食堂に行って昼食を食べた。たまなつはパパに会えて嬉しくて興奮してしまったのか、肉まんを3個も食べたことは完全に忘れてハンバーグとスパゲティを食べたので家に帰ってから食べ過ぎで具合が悪くなった。
 「そうだ、連絡先教えてもらえる? それと、どこに住んでるのかこっそり聞きたいんだけど……」
外に出てからあまなつがそう言うと、しらたま族の少女は
 「連絡先はぜひ交換しましょう。たまなつちゃんもね。でもどこに住んでるかはヒミツだよ」
と言って連絡先だけ教えてくれた。ついでにカリンも連絡先を交換したが、そのときしらたま族の少女に
 「美人さんですね」
と言われ、
 「まあね……けど嫁? の妹にそういうこと言うんじゃないわよ」
と返していた。しらたま族の少女は全然そんな気がなかったので首をかしげていた。
 「あそうだ、写真撮らない?」
あまなつがそう言うと、カリンは
 「ああ、じゃあ私が撮るわよ。並んで……なんて言うの? チーズ?」
と言い、穏やかな笑みを浮かべるあまなつと、両手を上げて楽しそうにしているしらたま族の少女の間で満面の笑みを浮かべるたまなつの写真を撮影した。

 かくしてたまなつは紛れもなく両親に認知されるに至った。そして彼女がそのことを心の底から信じている限り、きっといつまでも良い子でいるだろう。その後、パパから一子相伝の舞やしらたま流柔拳法を継承されることになるのだが、それはまた別のお話である……

小説版たま☆なつ 零

 「誰なのよ、その子は」
自宅の玄関に仁王立ちして怪訝な顔でそう言い放ったのは、グレーともピンクともつかない美しい髪をツインテールにした、赤いつり目の少女、カリンだった。狐の耳と尻尾を持ち、容姿端麗。かわいらしくも均整の取れたそのシルエットは彼女の完全なまでの「強さ」を表していた。対して、
 「えーとね……わ、私の娘よ。よろしくね」
と、どう考えても説明になっていないだろうなぁと思いながら答えているのは、カリン同様に狐の耳と尻尾を持った少女、あまなつであった。彼女も緑色に染まった髪を二つに結んでいるが、低い部分で結んでおり、顔つきも相まってカリンより幼い印象を与える。しかし、彼女はカリンの姉であった。玄関の外側で、「娘」と呼んだ少女と一緒に立っている。
 「何言ってんの? 姉さん、何日も遅れて帰って来て散々人を心配させておいてそれはないんじゃないの……そんないたずら私にしてどうすんのよ……」
カリンは完全に呆れていたが、「娘」と紹介された少女は
 「ママ、この人誰?」
と、言ってあまなつの後ろに隠れ、ぎゅっと服の裾を掴んだ。彼女は二人とは違って猫の耳と尻尾を持っていた。あまなつに似た緑色で、左右にハネて猫の顔のようなシルエットの髪は後ろには長く伸びており、結んではいない。そして、見た目の年齢はあまなつとほぼ変わらなさそうであったし、その顔つきはあまなつに瓜二つだった。
 「この子はカリンよ。私の妹なの」
あまなつはそう説明したが、カリンの方はというと
 「な……なんなのよコイツ、何がママよ。どう見たって姉さんと同じくらいの歳じゃない。どういうことか説明してよ」
と言ってあまなつに詰め寄った。あまなつはどこから説明したらいいかと悩んでたじろいでいた。
 「いや、そのね……色々あったんだけど……えー、なんて言えばいいのー! たまなつちゃん、どうしましょ」
とあまなつは頭を抱えて少女に呼びかけた。彼女の名は「たまなつ」であった。たまなつも目を見合わせてオロオロしていた。
 「いい加減ふざけてんじゃないわよ。何をどう説明されたってコイツが姉さんの娘のわけないでしょ。ねえ、姉さんのこと困らせてんのはアンタなのよ。どこの子なのか正直に言いなさいよ」
カリンはあまなつの横から、オロオロしているたまなつに言い寄った。たまなつはかなりおびえた様子で、
 「どこって言われても……ママはママだから……」
と俯きがちにそう言うが、カリンはものすごい目つきでたまなつを見下すばかりだった。
 「よく聞こえなかったんだけど。二回同じこと言わせないでくれる? アンタが姉さんの娘なわけないって言ってんのよ」
カリンはついにそう言って、ガッとたまなつの胸ぐらを掴んだ。
 「カリン、乱暴しちゃダメ!」
とあまなつは制止しようとしたが、
 「姉さんは黙ってて」
と一瞥した。あまなつが渋い顔をしていると、動きを見せたのはたまなつの方だった。
 「嘘じゃないもん!!」
たまなつはそう叫ぶとカリンの手を振りほどいて、逆に両手でカリンの肩に掴みかかった。
 「は? 何よこの……い、意外と力強いわね」
カリンはすぐにはたまなつを振りほどけなかったがたまなつの胸を右手で少し小突くと、たまなつの体勢が崩れてすぐに解放された。だがたまなつはすかさず威嚇するようにこぶしを握ってファイティングポーズを取ってしまった。これがまずかった。掴みかかったことよりもこの行為が完全にカリンの逆鱗に触れたのである。カリンは少し口元に笑みを浮かべると
 「いい度胸ね。私に手を出した以上は覚悟してもらうわよ。来るならどこからでも来なさい」
と言い放った。だがカリンは手を出さない。構えも取らない。ただたまなつがかかってくるのを待っている。たまなつもここで思いとどまればよかったものを、すかさずカリンに殴りかかったためあまなつが仲裁に入る間はなかった。たまなつのパンチは、彼女が獣人であるがために普通の人間に当たれば一撃で骨を粉砕するくらいの威力はあったし、怒りと恐怖に任せた一撃は十分な速度と威力を備えていたはずだった。しかし、何の構えも取っていなかったカリンはたまなつの拳をまるで子供が投げたボールを手で弾くくらい容易に払いのけ、体勢を崩したたまなつのみぞおちに向かい不可視の速度で雷撃の如く縦拳を入れた。たまなつは拳を受けたことを認識することもできず地面に倒れ伏し、
 「うぇええええええ」
と叫んで腹を押さえのたうち回った。
 「コラー!!!!」
と叫んでカリンに次に掴みかかったのはあまなつだった。両手首をぐっと掴んでいる。
 「何よ姉さん、手を出してきたのはあっちよ。見てたでしょ」
そうは言うが先に胸ぐらを掴んだのはカリンである。しかもカリンはほどなくして
 「ちょ……いたたたた姉さん、痛い、痛いって!! なんで私にこんなことすんのよ!」
とその均整の取れた顔をゆがめ始めた。
 「アンタが、話を、聞かないからでしょうが、この……乱暴者―!!!」
と、あまなつは先ほどまでの困惑具合からは想像できないほど完全にキレ散らかしてカリンの両手首をブンブン縦に振った。カリンは関節を完全に極められており、振りほどくことができなかった。
 「アー!!! 痛い、痛いー!!! わかった、わかったわ、私が悪かったから!!!」
カリンがそう叫ぶとあまなつはやっと手を離した。
 「色々あったのよ!! とにかくたまなつは今日から家族なの! 仲良くしないと承知しないからね!!!」
そう言うとあまなつはもう完全に開き直り、
 「たまなつちゃん大丈夫? ほら、こっちよ」
と、悶絶しているたまなつを起こして肩を支えながら、カリンの脇を通ってさっさと二人で家に入っていった。カリンは呆れたような困惑したような顔でその様子を睨みつけながらも、
 「なんなのよ、もう……気色悪いわね……」
と落胆しながら二人に続いて家に入り、そっと玄関の戸を閉めた。こうして一つ屋根の下、ある奇妙な家族の暮らしが始まったのであった。

Najiko王 解答・解説編

 こんにちは、Najikoです。

 Najiko王とは何なのか。それは某番組でやっていたアレです。わたくしが司会の質問に答えてフリップに答えを書き、回答者はわたくしの答えを予想して答えを書き、一致していたらポイント獲得! という面白身内クイズです。原則1問10点満点で、部分点もあり。フレンドのTizさん主催で今までにふじよし王、みつき王を行い、今回わたくしで3人目。ちなみにわたくしは先日のみつき王で王の称号を獲得したのですが、今回は王の権限でみつき氏に新しいクイズ用ワールドを作ってもらいました。実際には途中でトップへの妨害が入らなければ王じゃなかった割にすごい横暴です。しかも当日に観戦部屋追加のオーダーを出してんやわんやに。マジですみませんでした。

 そんなNajiko王ですが、せっかくなので参加された方以外にも内容がわかるように解答、解説編を書いておこうと思います。まあ、特に意味はないんですけど……会場では無言勢ゆえに解説しきれなかったこともここなら書けるので良いと思います。それでは早速。

第1問「趣味は何?」

A.たまなつちゃん

 いきなり答えが雑すぎる気がしますが、今のところたまなつちゃんがわたくしの趣味の全てと言っても過言ではありません。たまなつちゃんに関するコンテンツを細々と行い、VRCではアバターを使用することでたまなつちゃんをしています。故にたまなつちゃん。他にもまあソシャゲやったりブログ書いたりしてはいますけどこれらはこう……なんだろう、どうせ長続きしないからなぁみたいな気持ちでやってるので胸張って趣味って言い切れないんですよね。芳しい成果があるわけでもないし……なお、VRCそのものについては趣味というよりは「生活」そのものなのでちょっと趣味とはズレてきます。

第2問「好きな女性のタイプは?」

A.クソつまんない話もまあまあ聞いてくれる人

 「貧乳」じゃないのかと言われるとこれはまあ、正解なんですけど、わたくしの個人的な感覚として「好きな女性のタイプ」と言われると容姿よりは内面とか人柄のことをイメージしてしまうんですよね。あと時々言ってますけど、貧乳でも意地の悪い人は普通に嫌い、というのは二次元でも三次元でも一緒です。そりゃそうじゃ。でもこの世に、わたくしのオチのないしょうもない話をニコニコ聞いて添い遂げてくれる女性が存在しているとは思えないので所詮ファンタジーの話です。悲しみ。

第3問「最近ハマっていることは?」

A.さやタウンに家や店が建つ様子をウォッチング

 「最近」ですので、本当に直近の話にしました。さやタウン、最初はなんか何人か集まってるなーと思ってお邪魔したんですけど、来訪者の家を建てる区画にわたくしもNajikoの家とたまなつケバブのあるスペースを設けていただいてとても嬉しく思っています。

これからもタウンの発展が楽しみですね。

第4問「きのこ派? たけのこ派?」

A.きこりの切株

 よく考えると明治製菓の商品じゃないんですけど、まあ第三勢力ということで……実際美味しいんですよ。ちなみにきのことたけのこでいくとたけのこ派です。この質問は質問されるサイドも回答を予想する側も大喜利力が試される難問ですね。あえて二択に普通に答えるのもアリです。だって完全一致なら10点もらえますからね。

第5問「ゲーミング改変を始めたきっかけは?」

A.ゲーミングアウトラインシェーダーであらぶっているみつき氏を見たから

https://x.com/Najiko10/status/1395717837335851011

この話は定期的にしているような気がしないでもないですが、探してみるとそうでもありませんでした……けど実際これですからね。

これについては本人が覚えていてこのアバターまで見せてくれたので文句なしの満点です。後に、飛ばすものがパーティパロットから「生き延びてえらい」シールに変わったりしたんですよね。

第6問「好きなアバターは?」

A.あまなつちゃん、しらたまちゃん、ラスクちゃん、なんか3種類使ったやつ 正式名称がわからないアバターも好き好き大好き

 なんだそりゃ。まあたまなつちゃんのことなんですけど、回答数に制限がなかったのでこれら3種類をしっかり書いている回答者もいました。まあ持ってるアバターはみんな好きなんで、よっぽど知らんアバターや持ってないの以外は部分点入るんですけど、今回はこれで勘弁してください。

第7問「好きなゲームは?」

A. PSO EP1&2

 初代ファンタシースターオンラインです。ゲームキューブ版だけどね。2000年代のVRChatとも言える3DオンラインRPGの開祖。キャラメイクにロビーシステム、充実のマルチプレイ……今でも気軽にできるもんならDIscordで通話でもしながらフレンドと遊びたいゲームです。PSO2? うーん、確かにプレイ時間は長いですけど……やっぱ初代ですね。おじいさんなので。そんな複雑なゲームシステムとか、一生終わらんコンテンツとか、難解なアクション、コンボとかわたくしはいらんねん……最近のゲームはそんなんばっかりですね。難しいゲームは途中で投げちゃうし……

第8問「北海道の固有種で好きな生き物を答えよ」

A.エゾモモンガ

 エゾと名の付く動物ではベタなので「まりも」と答えたかったですがまりもは固有種ではないようです。あとキタキツネもいいんですけど固有種ではなくない? と思っていました。固有種でした。当然ながらエゾモモンガよりキタキツネの方が日常的に見かけます。めっちゃその辺にいるもん。エゾシマリスも稀に見かけることありますよ。でもエゾモモンガね、めちゃくちゃ顔かわいいですから。札幌の円山動物園とかで見られるかもしれません。オススメアニマルです。

第9問「好きな野菜は?」

A.千切りのキャベツ

 すたみな太郎とかでよくモリモリ食べます。居酒屋の塩キャベツとかも美味いですよね。千切りじゃないけど。青虫みたいだな、と言われたことがあります。うーん、幼形成熟。なぜかにんじんという回答が複数ありましたが、わたくしはウマではありません。ちなみにウサギってにんじんの葉は食べるけど根の部分はそんなに好きじゃないそうですね。猫も実は別にそんなに魚好きじゃないとかって話もありますけど、まあ好物がある方がかわいいですよね。で、何の話でしたっけ?

第10問「ドラクエの呪文が1つ使えるとしたら?」

A.「アバカム」

  鍵を開ける呪文です。比較的ベタなところだと思っていたのですが、この呪文が実装されているのはDQ2と3だけで結構マイナーな部類のようですね……銀行を襲うよ!(重罪) コミカライズやスピンオフ作品では高等な呪文扱いされているようです。そんな……そういえばハリーポッターでも鍵開けの呪文はありましたよね。アロホモラ……こちらは生徒が1年生のときに教わる初等呪文のようです。賢者の石で鍵鳥が飛んでる部屋の扉にロンが使ってたけどまるで効いてませんでしたね。まあ、アバカムならその辺の現実世界の鍵は全部開くでしょう。けどよく考えるとほとんど犯罪にしか使えないぞ、この呪文。ちなみに最もベタなルーラは飛んでるところ見られたくないので没。

第11問「座右の銘は?」

A.「他人と過去は変えられないが、自分と未来は変えられる」

 言葉通りの意味です。過去をなかったことにする試みは、望むなら未来に向けた方が成果を挙げるでしょう。あるいは過去への向き合い方を変えることもできるでしょう。他人に関しても同様です。自分の思い通りにいくことなど、ほどんどないのです。逆に、過去の変わらない思い出は変わらないからこそ色褪せず大事にすることもできます。そんな感じ。

第12問「言ってみたい海外の国は?」

A.台湾

 台北で美味しいもの食べたいですよね。まあ、ぶっちゃけ日本より治安いい国ないと思うので無暗に国内から出たくないんですけど。よほどしっかりしたガイドとぴったりくっついてないとあっという間に死ぬと思います。海外なんて行ったら。

牛肉麺とか食べてみたいです。

第13問「引っ越すならどこがいい?」

A.たまなつバース

 登場人物全員北斗神拳の使い手みたいな強さしてるんですけど、わたくしは果たして生き残れるのだろうか。まあぶっちゃけ現実的な話をすると道外に出たいとさえ思わないんですけど……ちなみに岐阜には我が一族の本家があるのでちょっと行ってみたいです。まあ、この家系はわたくしで末代になる予定なので一族の繁栄にはこれっぽっちも貢献してないんですけどね。お許しください……

第14問「子どもの頃の夢は?」

A.ない…

 どうしてでしょうね。幼稚園児の頃「おもちゃやさん」と書いたときは親に「おもちゃ屋さんになってもおもちゃ手に入るわけじゃないんだぞ」って言われてその時点ですべての夢を失ったような気がします。まあ、実際手に入るわけじゃないからね。しかし、もう少し成長してもこう……大人になったら何がやりたい、とか、自分はこれが得意だからこういうことをやってみたい、といったことは何一つありませんでした。まあなんか、細々したことは言ってたかも知れないんですけどよく覚えてません。親に「おもちゃやさん」のときと同じようなこと言われてたんだろうな、ということだけはわかります。それを跳ねのけるほど自信のある取り柄があれば違っていたかも知れないですが、ないものはないので仕方ありません。すっかり諦め癖がついてしまいました。逆に大人になってからの方がやってみたいことがあった気もするんですけど、結局は大学を出て就職する段階で既に収入がアレだとあっという間に目先の生活が立ち行かなくなることが目に見えていたので、選択肢もチャレンジの機会もありませんでした。でも実際のところ、身の周りで夢を叶えてる人なんてほとんどいないし、社会に出て1年、2年くらいで病んで休職したり転職したりしてる人ばっかりで……もうやめよっかこの話……

第15問「好きな季節は?」

A.夏

 夏です。まあ、サマスイメンバーですし?(関係はない) あと夏はvketもありますからね。冬もあるけどね……冬は雪があまりにもカスなのでダメです。春?秋?……日本に春とか秋ってあるんですか? 日本には冬、デス夏、夏、デス冬しかないと思うんですが……

第16問「好きな四字熟語は?」

A.魑魅魍魎

まあ、だからなんだって話なんですけど主述が両方書くのめんどくさい四字熟語なの面白いですよね。何、跳梁跋扈って。意味は物騒なのがまたなんとも……ちなみにわたくしはシャーマンキング未履修です。

第17問「ティグリスタ(旧茄子坂46)に加入したきっかけは?」

A.当時LPK48がメンバー募集しておらず、発足したばかりの茄子坂のメンバーを募集していたから

 そうは言っても消去法で茄子坂を選んだわけではありません。実際のところわたくしがVRC始めて最初に会ったmidoriさんのアバターは茄子ちゃんでしたし、じゃあLPKがメンバー募集してたら応募したのかと言われるとそうでもないのです。何故かというと、当時LPKがVRCアイドルの中で最も高い知名度を誇っていたのでそこに入るには荷が重いと思っていたので……よく言えば鶏口となるも牛後となるなかれ精神、という感じですね。実際にそんな高尚なことはしてないですが……これからも何らかの形でグループに貢献していきたいと思います。

第18問「好きな変化球は?」

A.ナックルボール

 ツーシームも解説聞いたらちょっと好きになりましたけど、ナックルボールはこの球種に特化した振る舞いをしなければ成立しない「魔球」の感じがいいですよね。善逸の霹靂一閃に似たものを感じます。まあ、野球全くわかんないんですけどね。

第19問「好きな飲み物は?」

A.風呂上がりのフルーツ牛乳

 改めて聞かれると結構困る問題ですよね。記事を書いている今なら「ミロ」とか「ファンタグレープ」が正解になる可能性もあります。銭湯とかのフルーツ牛乳、飲むと一瞬でなくなっちゃうんですけどまたそれがいいですよね。ちょっと名残惜しいくらいが一番おいしいんじゃないでしょうか。ちなみにアルコールならコークハイが一番好きです。別にペプシコーラで作ってもいいですけど甘さとのバランスを考慮するとやっぱコークかなぁ。

第20問「アップロードした中で一番好きなワールドは?」

A.旧たまなつハウス

 いや知らんがなと言われるとそれはそうなんですけど、概ねこんな様子です。

ガフの部屋が開き、行方不明だったママなつちゃんは空から迎えに来るし、世界は悲しみに満ち満ちていき、 空しさが人々を包み込んでいくし、 孤独が人の心を埋めていきます。なんなんだここは。右下のカリンちゃんがコラ画像にしか見えません。このワールド作った頃カリンちゃん発売してなかったし。まあ意味わかんないんですけど一番力込めてるワールドではありましたね。この頃の解釈としては、あまなつちゃんがリリス、しらたまちゃんがアダムで、アダム由来のものは全部しらたまちゃん、リリス由来のものは全部あまなつちゃん(エヴァはこんちゃん)で表現していました。弐号機は実際にはアダム由来なので狐のこんちゃんにするべきではなかったと思うんですけど、どっちにせよ意味が分からんですね。またこの解釈でいくとたまなつちゃんはリリス由来の初号機がアダム由来のゼルエルのS2機関を食らってガフの部屋を開くカギとなる「神」となった状態に等しいことになります。何が?

EX.「たまなつバース最強のこまどアバターは?」

A.ミントちゃん(フィジカルだけならライムちゃん)

 これもいや知らんがな、という問題ですけどまあEX問題なので多少はね? たまなつバースではカリンちゃんが強い描写が多くされていますが……

実はミントちゃんの方が強いです。

フュージョンは戦闘力が似通ったペアでしか成功しないので、ラスクちゃんの見立てが正しければミントちゃんとライムちゃんが頭一つ抜けていることがわかります。とはいえ、ライムちゃんとミントちゃんのどちらが強いか、と言われるとこの描写はまだないのですが……

鞘ごとエクスカリバー持ってるミントちゃんは完全に無敵なので紛れもなく最強です。以上!

 いかがでしたか?(ダメそう)
こんな感じの超身内ネタ杯なのですが、付き合いの長いフレンドの方々に参加していただくと盛り上がりますね。意外な一面を知ることができたりして取り上げられる方も回答する方も楽しい企画となっております。皆さんもどこかグループ内で行ってみてはいかがでしょうか……ではまた。

みつき氏渾身のクイズ用ワールド。スコア計算システムもありさすがの完成度でした。

初代Najiko王はともえさんでした。ありがとうございました。フリップにたまなつちゃんのイラストを描いてもらうと点数が上がります。

断章「上客」

 翌日、赤森はまだいつもの職場に出勤していた。夢見にお呼ばれした彼女のラボに臨時異動となるまでには、まだ少し日があったのだ。しかし、来たるその日に向けて気分はどんどん沈んでいくし、そればかりか今日は心穏やかであるはずの通常業務にさえイレギュラーが舞い込んできていた。
 「おはよう。なんか浮かない顔してるね……まあそりゃそうか。さすがに同情するわ」
タイムカードを押したばかりの詰所でそう話しかけてきたのは、赤森の同僚の事務員の女性、稲見だった。
 「あ、おはよう。何? 私そんなに顔に出てる?」
赤森の顔は誰がどう見ても悲哀そのものであった。目尻は下がり、眉間にはしわが寄り、世の全てを憂いているかのようだった。
 「私が上司なら早退させるかな……まあでも、そうもいかないんでしょ。今日は急な上客がやってくる日だもんね」
稲見は詰所のカウンター前に座って椅子を赤森の方向に回しながら言った。
 「上客ねぇ……確かなんだっけ、ヴィノムス? とかってところに送り込んでた被験者だったわよね。今度はどんな被験者なのよ……廃人? そもそも人間の形してる? もううんざりだわ」
赤森は心底不安そうな声でそう漏らした。
 「いやあんたね……報告だと私たちと同じくらいの歳の女の人だって。朝一で送迎してくるって聞いたからもうすぐ来るんじゃない? 搬送じゃなくて送迎って言われたから、そんな身構えなくても平気だと思うけど」
稲見はカウンターに頬杖を突きながらのんきに話した。
 「ならいいけど、あーあ、何もこんな時に来なくたってね……脳波検査の担当に私もついてるのよ。もうー」
赤森はそう言ってため息をついた。
 「ドンマイね。まあ、あんたは臨時異動だけど私もそろそろ仕事辞めようかなーとか思ってるし、お互い様じゃない?」
 「え、仕事辞めちゃうの? その後何かあてでもあるの?」
 「ないけど、この前なんか子供が来てたじゃない? あんたの知り合いだっていう。あの子見てたらさ、いいなー自由でって思っちゃったんだよね。やっぱり人間も自由であるべきよ。猫みたいに、華麗に鮮やかに……」
 「は? ホントに真夏ちゃんみたいなこと言ってる……猫みたいに自由な職業って何よ、怪盗とか?」
 「怪盗! アハハ、面白いね。今の仕事よりは稼げそうー。わざわざ偽名とか考えたりしてね」
二人がそんなしょうもない会話をしていると、玄関の自動ドアが開き、二人の男性職員に引率されて1人の女性が施設に入ってきた。赤森はそれに気づいてすぐにそちらへと向かっていく。
 「あ、おはようございます……こちらの方が、例の?」
赤森は引率の職員に尋ねた。
 「はい、検査に来られた永見弥生さんです。じゃあ、検査室の方までお連れしてください」
赤森に尋ねられた職員はそう言うと、もう一人の職員と一緒に足早に去っていった。
 「あー、そんないきなりー」
などと言っていたが赤森は傍らの永見が不安そうな顔をしているのが視界に入った。
 「あのー、私……前にいたヴィノムスって組織ではすごく、こう……いい扱いを受けてなくて……こちらではその、どういったことを……?」
永見は遠慮がちに赤森に尋ねてきた。
 「え!! ま、まあその、脳波検査とか? そ、そんなに緊張しなくても、多分……大丈夫、かなって」
赤森は確かなことが言えず困惑し、彼女を安心させようと肩にポンと手を添えたが、その瞬間奇妙な感覚に襲われた。硬い。冷たい。服の上からではあるが、これはまず人間の肌の感触ではない。なんだ? 鎧でも着ているのか? と一瞬のうちに驚愕の表情を浮かべていると、向こうから声がする。
 「おはようございます。ようこそお越しくださいました。わたくし、こちらのラボの主任を務めております那次と申します」
そう言いながら歩いてきたのは赤森の上司の名治子だった。
 「主任―!! もう、お任せしても……??」
赤森は謎の上客を完全に上司に丸投げしようとしていた。
 「ええ。検査の前にわたくしが応対しますから、赤森さんは検査の準備に行ってください」
名治子はそう告げると、笑顔で永見を応接室へと誘導していった。

 「コーヒーなど、飲まれますか?」
名治子はセラピーに使う部屋に招いた永見を席に着かせ、いつものようにコーヒーを淹れようとしていた。
 「いただきます。ブラックでいいですよ。私、飲食は普通にできますから……」
永見は少し安心した声で言った。
 「ああ、それは存じ上げていますよ。わたくしがお尋ねしたのは単に好みの問題です。コーヒー、あまり好きじゃない方もいますからね」
名治子は微笑みながらドリッパーのセットを始めた。
 「貴女のヴィノムスでの活動と、今回の騒動についてはあちらに派遣した職員や一部当事者からの報告で細かい部分まで伝わっております。……INCTが提供した技術とはいえ、まさかこのような……本来なら何人も貴女のような扱いを受けるべきではありません。この点についてはわたくしが代表して謝罪いたします」
名治子はそう言って頭を下げた。だが彼女は半分嘘をついていた。INCTがヴィノムスに技術提供を行ったのは、この技術を使った実験が人道的な形では行えないことがわかっているからに他ならない。INCTは技術提供という名目で、反社会的組織であるヴィノムスに非人道的な実験を大々的に押しつけたにすぎないのである。そのことは一つのラボを請け負う主任である名治子もよく知っていることだった。
 「もういいんです。本来は私、ヴィノムスみたいな施設で管理されて一生過ごさなきゃいけないんでしょう? この体は、全身貴重なデータの塊ですもんね」
永見がそう言ってシャツのボタンを外すと、鎖骨あたりの金属部が露出した。彼女は、首から下は全身機械の体をしたサイボーグであった。それはまさに”ヒトの脳と機械を接続する”というINCTの研究目標の究極の形の一つであり、彼女はヴィノムスに提供した技術で作られたその実験体の一体であった。
 「ええ、まさしく……ですが、INCTは貴女を施設に拘束することはしません。出来る限り一般社会での生活を保障します。残念ながら、技術の漏洩を避けるための措置は都度取らせていただきますが……今日はその話がしたいわけではないのです。わたくしは率直に、貴女が今回の騒動で何を感じたかが知りたいのです。何でも構いません。よければお話してみてください」
名治子は彼女の金属の体を目の当たりにしても特にひるむ様子なく、落ち着いてそう話し席に腰かけた。
 「そうですね……思うところは色々ありました。一番は、ヴィノムスの非道さだけど……それはヴィノムスがなくなった今考えても仕方がないし、それより……私は、あの場所での出会いを大事にしたい。こんな体にはなってしまったけど……孤児院で生き別れた妹とも再会することができたから。でもそれとは別に、一番記憶に残ってるのは私の『前任者』のことかな」
そう言いながら、永見は今しがた淹れられたコーヒーに映る自分の姿を見つめた。
 「前任者……つまり、あの場において『コア』の役割を負わされていた彼女のことですね。彼女のことは……」
名治子は残念だった、と言うのをためらった。永見の考えが聞きたかったからだ。
 「うん……途中で記憶が戻ってすぐに、私は彼女が辿った運命に察しがついてしまった。察しがつくだけの情報が、揃っていたから。ただ……その事実があんまりだったから、私は仕方がないことだったんだと溜飲を下げようとしていた。だけどそれって、本当は間違っていたのかも知れないと思ってるの」
永見はそう言うとコーヒーを一口すすった。
 「なるほど。本当はその事実にもっと向き合うべきだったと?」
名治子は尋ねた。
 「そうね。正確なことを言うと、結果論になってしまうけど……彼女の意識は、『コア』としてではなく一個人としての存在、記憶を求めていた。でも、故人として彼女から目を背けてしまえば、彼女の代わりにそれを留めておくことすら、できなくなってしまう。本当は、彼女と同じ処置を受けた後任の『コア』である私にはそのことがわかっていたはずだったのにね……けど、そんな私じゃなく、彼女の存在そのものを最後まで諦めなかった人が一人いたんだ」
永見はそう話すと少し笑みを浮かべた。
 「ええ、ええ。彼ですね。彼とはわたくしも連絡を取る機会がありました。その、仮想空間についてはわたくしどもも研究を行っておりましてですね……おっと、その話は今は関係ありませんね。続けてください」
名治子もそう言うとコーヒーを一口すすり、永見の言葉を待った。
 「ああ、そういえば今は彼、そういう研究してるんでしたっけ。そう、運河京谷……ヴィノムスでは一応私の上司だった人。あの仮想空間を設計しておきながらも、その『コア』としての悲運を彼女に背負わせまいと文字通り全てを賭けていた。その姿勢、あのときは真に迫りすぎて正直少し引いてたところがあったけど……今にして思えば、私が怖いと思っていたのは彼自身ではなくて、彼の願いが成就しないことだったんだ。もうどうにもならないことだってわかっていたからこそ、その必死さが痛々しくて直視できなかった……でも、本当は逆だった。彼が絶対に諦めなかったから、彼女の存在と記憶に触れることができたんだ。本当の家族だったわけでもないのに、それでもあんなにも……だから、私が察していた結果なんていうのは単なる事実でしかなくて。皆で最後に少しだけ彼女の思いを汲み取ることができたのは間違いなく、たった一人だけ彼女の願いを手放さずにいることができた彼のお陰だったんだなって」
永見がそう話すのを名治子はまっすぐに彼女を見つめて聞いていた。
 「そうですね。彼の思いがあってこそ、貴女も後悔の念を抱くことなくここに居ることができるのだとよくわかりました。なるほど……いえ、彼が随分とヒトの幸せというものに情念を燃やしている様子があったもので……その理由にもこれで納得がいきました。今はあの場で共にいた技術者の方と開発を行っているようですが、なるほどそういう……」
名治子はその技術者、ALS患者であるという藤原響のことを思い出していた。
 「そうそう、なんか色々あったみたいだけど、あの人がハッキングしてくれなかったら二人ともヴィノムスから脱出できなかっただろうし……とにかく、大変だったけどみんながみんな頑張ったおかげで、やるべきことができたのかなって」
永見のその言葉に名治子が大きくうなずくと、備え付けの電話に内線がかかってきた。名治子は受話器を取り、
 「あ、はい。そうです。ええ、わかりました。では今から」
と受け答えして受話器を置いた。
 「検査の方にお呼び出しが入りました。名残惜しいですが……貴重なお話が聞けて良かったです。今後もお話しする機会があると思いますが、貴女が感じたこと、共有したいことなどなんでもお伝えくださいね」
名治子はそう言うと立ち上がり、脳波検査室から迎えにやってきた赤森に彼女のことを引き継いだ。そして、通路を歩いていく彼女に手を振りながら少しだけ、自分にとって「本当の家族ではないけれど守るべきもの」に思いを馳せるのだった。

色々あったんですよ

 こんばんは。マンスリーNajikoすらサボってるNajikoです。

 思い返せば、たまなつ合同誌をやりましょう、というお誘いがフレンドの方から来たのは昨年、2023年のたしか……そう、9月か10月くらいのことでした。その頃既にたまなつちゃんは3歳くらいで、2020年からずっと使い続けていたし、Twitter(現X)でもNajikoといえば、と言えるくらい毎日のように発信をし続けている存在でした。しかしそれでも所詮、たまなつちゃんはわたくしが一人で愛でて一人で盛り上がっている幻覚でしかありませんでした。あの頃はNajikoをよく知っている人だけが、たまなつちゃんの存在を認知していたのです。

 しかし、たまなつちゃん合同誌の参加者募集告知を出す頃には、たまなつちゃんはわたくしがそれまで想定もしなかったような知名度になっていました。今や、その辺の知らない人が集まっているゲームワールドのインスタンスに赴いても「本物のたまなつちゃんですか?」と聞かれることがあるほどです。びっくらぽんですね。一体どうしてこうなったのか。全ては漫画版たま☆なつの投稿から始まりました。

実は最古の投稿はこれなんですけど、この頃は大して見向きもされませんでした。

 実際に伸びたのはこの連載版のスタートからでした。この投稿はそれまでのわたくしのポストからは比較にならないくらい伸びましたが、正直なところそのときは「これはたまたま1回ちょっとプチバズしただけであって、連載版2、3と続けていけばあっという間に収束して普段通り身内以外からは大して見向きもされないたまなつちゃんコンテンツになるだろう」と思っていたのですが……

 結局その後もさほど勢いは衰えず、フォロワーは瞬く間に増えていきました。そしてなんやかんや言って漫画で一番伸びたのはこれなんですけど、なぜかXで検索すると出てきません。デカパイの違法性がX運営の逆鱗に触れたのでしょうか……

 しかしわたくしはせっかく伸び始めてきたフォロワーに対し、連載版12で性癖の爆弾を大放出するという暴挙に出ます。これまで全年齢ほのぼの漫画(?)だった連載版は一転、わたくしの性癖にしか配慮していない強火のサイズフェチ(しかもシュリンカーシチュで足で踏まれる専門の)漫画になりました。12からさらに派生してこのほかに6回分に渡り性癖大暴露を行いましたが暴挙に出たのにはちゃんと理由がありました。あんまりフォロワーが増えてきたので元々過去に暴露していた性癖をここで放出して「うわ……」と思ったフォロワーにはおリムいただくという算段だったのです。すなわち、「ほれ、わたくしはこんなん平気で上げるんやぞ、見たいのとちゃうやろ……」とふるいにかけるのが目的だったのですが……不思議なことにリムられることはほぼなく、逆にVRCと全然関係ないところから山のようにサイズフェチの観測者たちが集い、結果的にふるいの上の網の目から全く落ちていないフォロワーの上にさらにドサドサHENTAIのニューカマーたちが降ってくるという異常事態になってしまいました。いやそんなことある? ちなみに癖についてはここでは多くを語らないものとします……

 でもまあ、そんな中でも通常の連載版も続けるよって明示はしてましたし、逆にサイズ系の漫画を上げなくなってからもサイズ系のフォロワーが減っていくかと言われると別にそうでもありませんでした。いうてサイズ系のイラストとかちょいちょい上げてるからだと思いますけど。だって好きなんだもん……

 カリンちゃんにはでっかくなって街を守ってほしいじゃないですか。そうでもない? そう……にしても、VRChatのアバターは、本当に多種多様な二次創作が行われています。あんな改変やこんな改変、モデルを利用したあんな写真、こんな動画……果ては漫画にイラストまで。中にはとてもじゃないがお子様にはお見せできないものや大人でも目を覆いたくなるもの、癖をバキバキに破壊するようなものもあります。でもいずれも規約に違反してない限りはもちろん自由。だからわたくしも、自由にやらせてもらっておるわけですが……

 なんかね、いいのかなこれってちょっと、思ったりするんですね……いやいいんでしょうけど……これがわたくしが見てる幻覚で大して見向きもされてないものであればいいも悪いもない話だと思うんですが、なんか意外と人気だったりするんですよね。みんな、わたくしが思ってたより好きなんですよ、激おこカリンちゃんのことが……

 改変を施してもはや元のアバターのいずれとも認識されていないたまなつちゃんと違って、わたくしがたまなつバースの登場人物として登場させているカリンちゃんは見た目が無改変のプレーンな状態です。しかし当然ながら公式の販売ページのカリンちゃんはこんな風にやさぐれたりブチギレたりはしていません。つまりたまなつバースのカリンちゃんは、見た目はプレーンなカリンちゃんであるにも関わらず公式がお出ししている例とはかけ離れたキャラクターをしてしまっているわけです。そうするとなんというか、まあ……カリンちゃんほど広く普及したアバターであれば影響は軽微でしょうが、プレーンなカリンちゃんに「ブチギレる人」というミーム的な属性が付与されてしまう可能性もあるわけですね。そういったことに対して多少引け目を感じないでもないのですが、まあ、所詮はわたくし個人が勝手にやってる草の根二次創作ですから、そんなことはないと信じてます。

 しかしそもそもなんでたまなつバースのカリンちゃんがこんなに粗暴なのか? と言われると、今となってはその理由は定かではないのですが、少なくとも相当初期からカリンちゃんを不良みたいなキャラにしていたのは確かでした。

さすがにこのエピソードとかは今やたまなつバースの正史には含められないですけど、このくらいのイメージでやってたことは間違いありません。自分で自分の考察をするのもよく意味が分からないんですけど、ものすごーくメタな視点から考えると、たまなつちゃんをそこそこにディスるキャラクターとしてあまなつちゃんの妹にあたるカリンちゃんが適任だったんだと思います。たまなつちゃんがアホやったときに適度に抑止できるキャラがいた方がいいですからね。

しかし、カリンちゃんのパワーは常軌を逸しています。一方でたまなつちゃんも獣人なのですごいパワーがあり、2人の取っ組み合いに巻き込まれたら普通の人間はバラバラにされてしまうでしょう。カリンちゃんが怒りっぽいのはともかくちょっとガラが悪いくらいの域をはるかに超えたパワーを持っているのは何故なのか? それを紐解くカギはやはりたまなつちゃんにあります。そもそも、カリンちゃんが常軌を逸したパワーを持っているのはたまなつちゃん自身のパワーがすごいからなのです。カリンちゃんはもっと強くないとたまなつちゃんにツッコミを入れられませんからね。ではなんでたまなつちゃんにそんな力持ち設定をつけたのかというと、酷い目に遭ってほしくないからなんですね。

 世の中には「かわいそうはかわいい」という概念がありますし、たまなつちゃんもギャグキャラ相応の目に遭ってはいます。カリンちゃんにも殴られてます。でもまあ、この話は前に別の記事でも書きましたが……本人に不可逆な変化を伴うような超ひどい憂き目には遭ってほしくないわけです。単純にわたくしが辛いので……だからたまなつちゃんは強い自我と超パワーを持っているのです。なんでも力でねじ伏せて堂々と生き延びてほしい。ただそれだけです。そして上述の通り、たまなつちゃんが強ければカリンちゃんはもっと強くなくてはいけないわけですが、それとは別にわたくしの中ではカリンちゃんは決して曇ることのない高潔さと唯一無二のKawaiiぢからを持つ一等星のような存在なのです。誰もが振り向く美貌に相応しいカリスマ性。それを担保するのはやはり最強の力に他なりません。そう……実は、Xで色々なカリンちゃんの創作を見ていると、超ひどい憂き目に遭っているカリンちゃんが目に入ることもありました。それも一度や二度ではない。でもうちのカリンちゃんは絶対にそんな目には遭わないのだ、と決意を新たにするたびに、カリンちゃんはさらに強くなってしまうんですね。誰にも媚びない、誰も逆らえない、何人も毀損できない、そんな“ 狂気”の産物です。

 さて、最後になりますが……たまなつ合同誌は原稿が揃ったのですがまだ参加イベント等の目処がちょっと立っていません。ですが必ず発行にこぎつけますので、どうかお楽しみに。あとそのうちたまなつちゃんTシャツとか、お出しできるかもしれません。こうご期待です。それでは、VRCで本物のたまなつちゃんと握手しましょう……

誕生日の謝辞

Najikoです。

先月1月23日はわたくしの誕生日でした。恐れ多くも欲しいものリストをXで公開していると、今年も数多くの贈り物がわたくしに届き、大変感謝しています。感謝感激なのですが、こちらをご覧ください。

今年のXのプロフです。前年はフォロワー数650人くらいだったんですけど、今年は2900人超えに。増えすぎ。それはそれでとてもありがたいことなのですが、そっとメッセージを添えて贈り物をしてくれたフレンドの方の名前を前年の4倍以上のフォロワーに向けてでかでかとお出しするのもちょっと、なんかな……と思ったのでこちらにそっと載せておきます。

こちらはベティさんより。中身はポップコーンの種です。ポップコーンの種は他の方からも送られてきましたが本当にいくらあっても困らないので非常にありがたいです。ベティさんには他にも日ごろから色々贈り物をいただいたりしてお世話になっているので略儀ながらこちらでも御礼申し上げます。ありがとうございます。ホントに。

こちらははるまきさんより、ポップコーンの種とモーツァルトです。モーツァルトは去年の夏にわたくしからお送りしたことがあったのですが、これがまた非常に甘くて美味しい……製造過程で本当に二晩モーツァルトの曲を聞かせているというこのお酒。ガーナミルクチョコ以外はチョコレートと認めないわたくしも思わず唸る濃厚チョコレートリキュールです。湯煎したてのチョコくらいの粘性があるのでアイスにかけたりホットミルクに混ぜたりできます。けど単なる液体チョコレートというわけではなく、リキュールらしくアルコールの上品な香りも感じられる、この世の全ての贅沢が詰まったような一品です。ありがとうございます。

お次はこちら。なんとしらたまちゃんからSSDをいただいてしまいました。実は今使ってる1TBのSSDの残り容量が20GBを切っておりいつ爆発してもおかしくない状態だったので本当に助かりました……これで安心してUnityなどができます。そしてモンプチの缶もこんなにいただきました。なんたってあのしらたまちゃんがおいしいって言うんだから説得力が違いますよね。猫だもん。うちの猫も喜んで食べています。ありがとうございます。

こちらはktさんより。いやあのですね、このデュワーズの8年は本当に美味いです。普段安酒をハイボールにしてるわたくし、トップバリュのウィスキーすら「思ったより飲めるな」と思ってたくらいですがこのクラスの酒に比べたらもう飲めないと思います。完成度の次元が違いますよね……いいお酒はアルコールで攻撃してきません。そしてデスソース。いやほしいもに入れっぱなしにしてるわたくしが悪いんですけどこれには訳があり、去年東京のオフ会でわたくしがデスソースついた手で目をこする事件を起こしたことを自らネタにしてたんですけどまさか本当に送られてくる日が来るとは思いませんでした。怖くて使えないんですけど、ビンはいかつくてカッコいいですね。ポテチにつける勇気はないですけどスパゲティとかに1滴くらいは入れてみようと思います。ありがとうございます。

お次はこちら。ティズさんからブルートゥースヘッドセットをいただきました。これすごいんですよね、無線なのにヘッドセットなんですよ……ヘッドホンだけじゃなくて。家が狭いので有線のやつはしょっちゅう引っかかって落っこちたりしていたんですが無線だと移動もできてとても助かります。スマホともペアリングできるので外にも持っていける優れもの。すごいね最近のガジェット……ありがとうございます。

さらにこちらはるーとんさんから、ピーナッツ1kgです。すごい量! なんか最近なるべくお菓子は控えてピーナッツかじって生きるようにしてるんですよね。ハイカロリー? いえいえ、植物性の油に食物繊維も豊富ですから……と言って毎日食べてます。スーパーで売ってる大容量のやつより全然美味しいです。ありがとうございます。

そしてくるはむさん。こちらもポップコーンの種と、あとモンプチです。猫の食べ物もまたいくらあっても困ることないので非常に助かります。ポップコーンの種はしっかり電子レンジで弾けさせてクラッカー代わりにしました……ハッピーバースデートゥーミー。ありがとうございます。

たまなつちゃんに似ているとわたくしの中で話題のトロピティ

あと最近ずっとハマっている例のゲーム、パルワールド。こちらはふじよしさんがSteamでギフトしてくれました。お察しの通りお陰様で大変楽しんでおります。ありがとうございます。

それとどちらか存じ上げないのですがBoothでめちゃブーストして商品を買ってくださった方がおりました。ホントに助かります。ありがとうございます。

VRCを始めてからもう3回目の誕生日を迎えたわたくしですが、例年家が雪に埋もれてたり窓ガラスがぶち割れたり、今年なんかはもう包み隠さず申し上げると債務整理で貧乏のどん底に突き落とされてる有様なんですがそんな折にいつも皆さんの暖かい気持ちと贈り物のありがたみを噛み締めています。そんなわけで、いつも世話になっている皆様に改めて感謝申し上げます。本当にありがとうございます。こんなNajikoではございますが、また1年よろしくお願いします……

裏・漫画版たま☆なつアーカイブ

裏でも何でもないサイズフェチの魔窟です。
具体的には連載版12の派生+αといったところ。ちょっとゴア表現があるのでほのぼのとしたたまなつバースをお求めの方は表アーカイブだけご覧ください。

もっとXとかに上げられないやつはこちらに載せています
https://poipiku.com/9717325/

その12

これだけ表にもありますが再掲。ここから歯止めが利かなくなっていきます。

その12-2

ストラップシューズが一番好きです。そして気づかないうちに……というのがポイント高いですね。

その12-3

ラスクちゃんはコイツのことちょっと恨んでるんだと思います。

その12-4

ローファーも好きですね。ぐりぐりしてるのも好きです。

その12-5

素足は個人的にはそんなに刺さらないんですけど、シチュエーションとしては欠かせないですよね。

その12-6

でっかわいいのはライムちゃんかなぁというアレです。

その12-7

一応正規ナンバリングと切り分けて終わらせないと気持ちの整理がつきませんでした……でもこれで12派生の一幕は無限に存在することになるので、気が向いたら12-nとして何かできるかもしれません。

おまけ

一番伸びたやつです。うちのカリンちゃんは気性は荒いけど加虐嗜好ではないので踏まれたい人のことは理解できません。

文句言いつつめちゃくちゃ強い、そんなカリンちゃんです。

なんでそんなとこにいんのよ!! って感じの1枚ですね。むぎゅ
こうして見ると1枚絵はカリンちゃんばっかりですね……

漫画版たま☆なつアーカイブ

とりあえずXに上げた連載版本編を乗っけていきます。12の派生とサイズ系のやつはちょっと別のページをそのうち用意するので勘弁してください

登場人物紹介

みんな設定読んだら「イカれてる」っていうんですけど、そうかも。

その1

カリンちゃんの言う通りだと思う。

その2

食べられる碁石を探してるわけじゃないのよカリンちゃん……

その3

余計なこと言うから……

その4

よっぽどやらかさないとここまでは言われないでしょう。

その5

ラスクちゃんは実はダウナー系の頭いいイケメンってイメージがありますね。

その6

実はたまなつちゃんは最初パーカーじゃなくてキャミワンピ着てたんですよね。

その7

地上げ屋より怖いぞ。

その8

そろそろヘルシンキ自然史博物館に行ってきた人の話が上がってくるはずと思ってたけどそんなことはなかったですね……

その9

カリンちゃんの胸板が、好きなんです。

その10

ちなみに、ラスクちゃんパーカーにはポケットはないみたいですね。

その11

わたくしは何もかけない派です。

その12

問題作。ちょうどこの頃Pawperty Damageってゲームやってたんですよ……

その13

股は清潔に。

その14

このしらたまちゃんすごくかわいくないですか?

その15

ドアストッパーの方が役には立つでしょう。

その16

意地でも娘っ子を守る強い意志。

その17

怖がられるより頼りにして欲しいんですね。

その18

元々リアアリスには完全無欠の少女というイメージがありましたね。

その19

興味あったらどうするってわけでもないのがラスクちゃんという女。

その20

ミルクパズルを実技として課された過去の宇宙飛行士試験では140~180ピースで3時間以内で合格……と言われているとのことでした。そりゃミルクちゃんも泣きだします。

その21

それで、その写真はどこで手に入れたんでしょうか……

その22

たまなつちゃんもヴィ〇ルサスーン使ってみたらいいと思います。

その23

カリンちゃんも軽く図柄見ただけでなんとなくビーム出せそうになってます(?)

その24

早く放してあげて……

その25

普通の人間が食らったら顎がなくなってるかもしれません。

その26

これは前半が実話で、学生の頃知り合いの女の子が本当にぬいぐるみをプレゼントされていたそうで、しかも複数回にわたり、くれる度に徐々に大きなぬいぐるみになっていったそうです。燃やした方がいいと思う。

その27

桔梗ちゃんなら持っているという絶対的な信頼感。

めるくと彰の反省会

 ここは魑魅魍魎が跳梁跋扈……していた、あるいは今もしているかもしれない町、閻魔町。そんな町の高級マンションの一部屋に、近頃引っ越してきたある2人の姿があった。「魔術を以て魔術を制する」を信条に掲げる国家機密組織、通称アイワス・クラスタの魔術師、閻魔高校に転校して来たばかりの女子高生、暁月めるく……そして表向きはその兄という肩書でタッグを組む、見た目は少し胡散臭いが情に厚い男、新庄彰。時は夕暮れ、閻魔町で大騒動に巻き込まれた2人はアイワス・クラスタからもらった少し長い休暇をその広く快適な部屋でのんびりと過ごしていた。

 「なあ、めるく。勉強熱心だな……せっかくの休みくらいゆっくりしたらどうだい?」
ドリップマシンで優雅にコーヒーを淹れながら彰が話しかける。
 「これが趣味って言えばゆっくりしてることになる?」
めるくは黙々と組織の書斎から借りた本を読んでいるところだったが、彰には一瞥もくれずそう答えた。
 「いい趣味だが、どうせお前は楽しく本を読んでいるわけじゃないだろう? 組織のエージェントとしてやるべきことだけじゃなくて、自分のやりたいことをやったらいいのに、と言っているんだ。ほら、コーヒーを飲むかい?」
彰はカップに入れた淹れたばかりのコーヒーをテーブルに置いた。
 「ありがとう、もらうね」
めるくは本を閉じて、リビングのテーブル脇のソファに腰かけた。
 「さて、ここで優雅にコーヒーを嗜みながら、俺と話をする。なかなか楽しくはないかい?」
彰は自分の分のコーヒーを片手にそう話しかけた。
 「楽しいか楽しくないかで言えば、楽しいんじゃないかな」
めるくはコーヒーを一口すすると、表情一つ変えずにそう言った。
 「ならいい。ではここからは尋問とお説教の時間だぞ。「おにいちゃん」としてね」
彰は糸目にいたずらっぽい笑みを浮かべて言った。
 「私は精神力で対抗するけど、どうしても尋問したいならどうぞ」
めるくは彰に話しかけられてから初めて彼と目を合わせて言った。
 「おいおい、もうその認識からダメだ。どうしてお前は尋問といったら初手で支配の呪文を使うと思っているんだい? お前相手にそんなことすると思われてるのかなぁ俺は」
彰は呆れた表情で言った。
 「そうすれば早く終わるし、嘘もつかれなくて済む。”魔術を以て魔術を制する”でしょ」
めるくは淡々と答えた。
 「ああ、そうだな。お前は正しい。けどな、信頼がなければ引き出せない情報もあるんだよ。俺が話したいのはそういう人間らしさについての話なんだ。いいかい?」
彰はそう言うとコーヒーを一口飲んでふぅ、とため息をついた。
 「私にないものの話をしてどうするの」
めるくはうんざりしたのか少し訝しんだ。
 「ないならあるように振る舞えばいい。そうすればあることになるんだって、お前が自分で言っていただろう。これもお勉強だと思って「おにいちゃん」の言うことをよく聞くんだ。いいね」
彰は相変わらず穏やかに微笑みながらそう言った。めるくは黙って聞いていた。
 「よし、いい子だ。じゃあ……まあ、そうだな。今回の仕事の報告を聞いた俺の感想としては、ちょっとお前は疑わしきを罰しすぎてる。敵とみなしたものにあまりにも容赦がないぞ。それが取り返しのつかない事態を招くことも考えなくちゃダメだな」
彰は腕を組み、神妙な面持ちでそう言った。
 「そう言うおにいちゃんは敵を家に上げて一服盛られてたでしょ。エージェントは如何なる場合も生存しなくてはならない。優先すべきものを間違えるのはもっとダメなんじゃないの」
めるくは眉毛一つ動かさずそう言い放った。
 「うーん、ぐうの音も出ないぞ。だがまだ俺にも弁論の余地はある。確かにお前の言う通り、エージェントは生き残らなければならないし、油断は命取りだ。それに今回の件では切羽詰まった戦闘行為に及ぶ機会も多かったからな。お前が多少……いやかなり暴力的で怒りっぽかったとしても、正当防衛ということで百歩譲ってよしとしよう。百歩譲ってるんだぞこれでも。それはわかるかい?」
彰はゆっくりと説明するようにして言った。
 「譲ってくれてありがとう。じゃあ問題ないでしょ」
めるくはそう言うともう一口コーヒーをすすった。幾分リラックスした様子だ。
 「しかしだな、一つどうしても腑に落ちないというか……これだけは聞いておきたいというか、そんなことがあるんだ。そう、お前がアッザム・イスバールをターゲットにした調査を始めてから2日目のことだ。校舎の敷地内に現れたゾンビと交戦したとき、お前はいきなりクラスメイトの天ヶ崎紅葉の顔面をぶん殴ったそうじゃないか。一体どうしたんだ? お前らしくもない……私怨でもあったのか? それがどうしても気になってね」
彰は心底理解に苦しみながら首をかしげて尋ねてきた。
 「敵だと思ったから殴ったの。それだけ」
めるくは間髪入れず答えた。
 「いいや、違うね。お前が本気で敵だと思ったら魔術を使って攻撃しているはずだ。それが何故かお前は素手で行ったんだ。何か理由があるに違いない。そうじゃないか?」
彰は珍しく眉間にしわを寄せ、そう指摘した。
 「そう、一から説明しないとダメってことでいい?」
めるくは少し嫌そうな顔をして言った。
 「そうだ。1から100まで、いや1000くらいまで説明してくれ。でないとわからん」
彰は答えた。めるくは大きなため息を一つついておもむろに話し始めた。
 「話は一日目の放課後から。アッザム・イスバールを屋上に呼びつけたときのこと。私は尋問を試みたけど、そもそも彼からは魔力を感知できなかった。代わりに近くに飛んでいたカラスから並々ならぬ魔力を感じ、警戒していた。その折にアッザムが倒れて……仕方なく運び出そうとしているところに、天ヶ崎紅葉と特大寺巨麿の2人が現れた。私は攻撃を受けたけど、おにいちゃんはどう思う? 屋上で倒れた人を搬出しようとしているところを攻撃してくる人間が正常だと思う?」
めるくが淡々とそう言うと、
 「それは、お前がアッザムを襲ったと思われていたからなんじゃないか?」
と彰は返した。
 「そうだね。そのときは誤解があった。けど、チーという女……いや、男の子だったね。彼の介入でその場は収まった。そして問題の2日目。馬で襲ってきた意味わかんない特大寺はともかく、あのカラスを使役していそうに見えた天ヶ崎には私は既に目をつけていた。そして、案の定彼女……いや、彼からも魔力を感知した。その折、ゾンビが出現しているところに駆けつけて戦闘を開始したわけだけど、天ヶ崎はゾンビに手を出さなかった。どう? 前日に出現したチーはゾンビを引き連れていた。そして校舎に現れたゾンビに天ヶ崎は手を出さなかった。この時点で、天ヶ崎は魔力を持ち、カラスを使役して私を妨害し、ゾンビとの戦闘に非協力的な態度を取った……ように見えた。これをおにいちゃんなら白だと判断する?」
めるくは相変わらず表情一つ変えずに言った。
 「確かにその状況なら警戒はするが……それだけで殴り飛ばそうとするのはちょっとおかしくはないか? まだほかに理由があると?」
彰はまだ困惑した様子だった。
 「私と敵対する意思があるか、試したの」
めるくは言った。
 「なんだって? なぜ殴ったらそれがわかるんだ?」
彰はますます混乱した。
 「おにいちゃん、人に説教するなら相手の立場に立って考えた方がいいよ。もし急に誰かが全力で殴ってきたら……おにいちゃんはどうする?」
めるくは尋ねた。
 「そりゃ、抵抗するだろうな。場合によっては、被害をそらす呪文でも……いや、まさかお前……?」
彰は何か感づいたようだった。
 「そうだよね。そう。咄嗟に殴られれば、身を守るためには手段を選ばない。私は彼が魔術的な手段で防御に及ぶと考えていた。私が素手で殴っている以上、魔術を見せれば糾弾の対象になる。それで化けの皮を剥がせると思ったの」
めるくは大まじめにそう話した。しかし彰は苦笑いして言った。
 「なるほどな……けど、そうはならなかった」
するとめるくは少し渋い顔をして
 「そう。彼は黙って殴られた。物理的にかわすこともしなかった。私はそれを以て、彼が前日の件を踏まえてもなお私を徹底的に敵視しているわけではないと判断した。何か間違ってる?」
と話した。彰はそれを聞いて笑い始めた。
 「はは……お前、本気で言ってるな? わかる、わかるぞ、ははは……全くお前は優秀なエージェントだ。そこまで非情でないとアイワスの依り代にはなれないのかな? いやすまない……あんまりにもあんまりだと思ってね。すごいぞめるく。後輩ながらエージェントとしては満点だ。けど、人間としては残念ながら落第だな……」
彰は心底残念そうな顔をしてそう言った。
 「エージェントとしては満点? なら尋問もお説教もここまでだね。それとももう少し”理想の妹”らしくするお勉強が必要?」
めるくは満面の作り笑いを浮かべながらコーヒーをずずーっと飲み干してからそう言った。
 「ああ、お勉強するべきことはあまりも多いぞ。別にな……俺にどう思われてるかとかは、気にしなくていいんだ。けどな、お前には人として生きる上でもう少し大事にしてもらわないといけないことが山ほどあるんだよ」
彰は少し悲しそうな表情を浮かべて言った。
 「そう……それが組織の方針なら、喜んでお勉強させてもらうね。コーヒーごちそうさま。美味しかったよ、おにいちゃん。じゃ、私は自分の部屋に行くから」
めるくはそう言って、先ほど閉じた本を拾って自分の部屋のドアを開け、中へと消えていった。彰も残りのコーヒーをずずっと飲み干して、ふぅ、とため息をつく。
 「ああ、真に救いの神がおわしますならば……彼女がどんな罪を負っているのか、俺にも教えてほしい。願わくば、俺が「おにいちゃん」であるうちに、あの子が子どもらしく……学生生活に価値を感じてくれればな……いや、弱気になってても仕方ない。取り巻きのエージェントもいることだし、仕事では心配いらないんだ。あとは俺ができる限りのことをしないとな……」
彰はベランダの大きな窓から、ちょうど陽が沈んでいく街の様子を眺めながら一人でそう呟いた。部屋に差し込む斜陽はほんのり暖かく、愁いを帯びた彰の顔を照らしていた。